西洋の常識を砕いた大波

e0240147_20152555.jpg
月曜日朝刊でございます。
「ジャポニスムふたたび 26話」
~西洋の常識砕いた大波~

海外への土産物でお決まりの図柄と言えば、葛飾北斎の『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』であろう。Tシャツからメモ用紙まで、この作品がこれほどまでに外国人に愛される理由は何か?...
19世紀までの西洋の絵画表現には、実は幾つもの「ねばならい」があった。例えば、テーマには何らかの宗教的、道徳的示唆が含まれているのが好ましく、光と影による立体表現は必須。人物を主体としたリアルな表現は、まずもって画家に求められる資質であった。
それが19世紀に入ると、目に見える現実を忠実に再現する役割は、モノクロ写真に取って代わる。「はて、絵描きとは何を描くべきか?」
そんな折、海を渡ってもたらされた奇妙な異国の絵があった。極端にデフォルメされた躍動感あふれる大波には道徳的な意味付けはない。さらには影のない鮮やかな色彩の対比に構図や視点の斬新さ。描き手の感動や印象を前面に押し出したその作品は、決してリアルな描写ではないが、ただただ美しく面白い。北斎の『神奈川沖波裏』は、西洋絵画の「ねばならない」の枠を見事に打ち砕いた大波だったのだ。
やがてその大波は、西洋の人々に「抽象」という概念を与え、西洋の芸術表現は華麗なる大変革期を迎えることになった。
北斎の大胆な波形は、ゴッホをはじめ多くの画家たちに影響を与え、模倣され、作曲家ドビュッシーはそこから閃きを受けて交響詩『海』を書いている。出版された楽譜の表紙はもちろん『神奈川沖浪裏』である。
 日本の芸術とは、絢爛豪華な障壁画から詫び寂びまで、あるいは深遠なる水墨の没我の境地から、軽妙洒脱な琳派まで、「ねばならない」の枠を常に超え続けながらも品格を失わない。その絶妙なバランスは、今も昔も西洋の人々にとって、刺激であり謎であり、憧れなのだろうと私は思う。

来迎院英長寺に奉納しました蓮2点のうち 「苦界の救われ」
もっと見る


[PR]
# by akikomoriya | 2017-07-20 20:17 | ジャポニスムふたたび

みなさまのお作品♬

なんとなんと2月から「みなさまのお作品」更新しておりませんで
大変お待たせいたしました。

6がつ7月と新しいお作品がそろいまして
ご紹介させていただきますm(__)m
e0240147_16540905.jpg
まず最初に
いつも精力的に制作されていらっしゃるNさま♬
背景のシダは
本物のシダに胡粉を付けて型押ししたもの。
少し濃い目の胡粉でやりますと
凹凸ができてよい具合に絵の具がひっかかります♬

水色や黄緑がお好きなNさま
すがすがしい色味がお得意です。
見ていて癒される色調と
初夏らしい組み合わせです。ホタルブクロのほんわかした質感が
とてもよく出ております!
お見事です!

e0240147_16534123.jpg
さらに紫陽花♬
水玉がリアルです。
胡粉を使って水玉の透明感を出すことができます。
ちょっとしたコツがわかれば
水玉もそんなに難しいものではありません♬

雨を線で描写するのは実は日本人ならではの技法で
これを始めてみた西洋人はたいそう驚いたそうです。
e0240147_17190664.jpg
ちょいと画像を拝借いたしました。
広重の「庄内 白雨」でございます。
雨を線で描きますと
雨の降っている様子がよりリアルに伝わってきます。

Nさまの雨は広重のように激しく降る雨ではなく
あまり風のない
しとしとした長雨を思わせます。

優しく仕上がりました♬

e0240147_17011337.jpg
Sさま
以前描いていた作品をリニューアル!
ウサギさんを少し大きくして質感にも火打割りました。

日本画で細い線を描くときは
「面相筆」を使いますが
毛を描くときは特に「毛描き面相」という
先端がさらに細くなった筆を使います。
恐ろしく細い線が引けます(^O^)/

ウサギ全体に先に影になるグレートーン引いておいて
その上に毛描き面相で毛を一本一本描いていきます。

綿毛も優しく描けました。
そしてなんといっても瞳の美しいこと!
生きているようです・・・
Sさまは時々本当に生きているような
ドキッとするお作を描かれます。

お見事!

e0240147_17021442.jpg
Nさまの枇杷です
大変なチャレンジャーでいらっしゃるNさま
今回はちょと印象派風に背景を点描にしてみました。
日本の色彩の影響を受けて
パリの印象派の画家たちが虹色の絵を描き
その虹色の絵を
パリに留学した明治の画学生たちが習って帰国しまして
黒田清輝などまたまた美しい色彩の作品を作り出しました。

というわけで
印象派風の色調は日本人には相性がいいというか
好まれやすいのでありますね。

ピンクの中に
白やオレンジが混ざって
遠目に見ると
揺らいでいるような空気感が出ております。

影のグレーもお品よく決まりました♬
素晴らしいです!



e0240147_17010225.jpg
最後はGさま
実は80歳を超えたいじいちゃまであります。
しかしながら
お作品からは
落としを感じさせない力強さがみなぎっております!!!

シルクロードを旅された際の
想いでのお写真から再構成しまして一枚の絵になりました。

さらっとした乾燥した砂感は
13番の絵の具で達者にまとめてあります。
空の描写も素晴らしいですね~!!!
描きすぎず、不足なく、シルクロードの青さが表現できております。

さらにさらに
羊たちの描写・・・
は~とため息が出ます・・・


強いコントラストと日差しの強さをしっかり表現しつつも
影を青でまとめていることでこの絵を柔らかく見せています。

向こうからこちらへ
ず~っと続く羊の群れと
黙々と歩く羊飼いのお爺さん?
の雰囲気がしっかり出ています。

やはり実際行き、ご自分の目で見て感動した風景は
絵にしても素晴らしいですね~(^O^)/

いつもいろいろと勉強させていただいております。

ではでは暑い夏がやってまいります
みなさま、どうぞご無理なく制作していきましょう!
次回お教室楽しみにしております(^^♪


e0240147_17065192.jpg


[PR]
# by akikomoriya | 2017-07-19 17:44 | SBS学苑 日本画教室

静岡新聞 朝刊『大自在』

e0240147_09362285.jpg

今朝の静岡新聞朝刊「大自在」(社説)で
『国褒めの歌』を取りあえげてくださいました。

ちょこっと話題に触れてくださるのかな、と思ったのですが
本当に丁寧に書いてくださり感激です。...
静岡新聞社になんとお礼申し上げたらいいやらです・・・
本当に有難うございます。


ではでは今日も一日
世界の平和は私たち一人一人の
言葉と心と行いの中に!

https://akikomoriya.jimdo.com/


[PR]
# by akikomoriya | 2017-06-23 09:37 | 国褒めの歌

ジャポニスムふたたび 25話

e0240147_18154014.jpg

ジャポニスムふたたび (25)

「清さ」を含む日本人の美意識         日本画家 森谷明子

百人一首で知られる「風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける」は、上賀茂神社の「夏越の祓」の神事を歌ったものであるが、上半期の最終日である630日は、日本全国の神社で「夏越の祓」が行われる。

「祓えたまい浄めたまへ」と唱えながら小さな子どもが茅の輪くぐりをする様は何とも愛らしく、まさに初夏を代表する風物詩である。

大晦日の「年越の祓」とあわせ、半期に一度は心身の大掃除をしようという古くからのこの習慣は、日本人がいかに綺麗好きな民族かを象徴している。この神事の興味深い点とは、「自分でも自覚できていない、知らず知らずの内に犯したであろう罪穢れ」に対して行うことである。清浄に対する神経質なまでの潔癖さである。

昨今の除菌ブームは「バイ菌が付いているかもしれない」と先へ先へと除菌スプレーを撒くのであるが、目に付く前に先へ先へと浄める習慣は、実は日本の美意識に欠かせない要素である。たとえば、茶道具は汚れて無くてもまず浄め、神社仏閣では落ち葉が無くても朝な夕なと掃き清め、年末の大掃除では穴はなくとも障子の張り替え、である。

美の定義とは時代や民族によって少しずつ異なるものであるが、日本人の美の定義に「清らかさ」が加えられたのは平安以降のことである。日本人にとって「清さ」を欠く美は、もはや美ではない。さらにその清さとは、見た目だけでなく心の領域にまで及ぶのが、日本美の特徴のひとつでもある。

昨今の大人社会を覗けば、我が身の不正は早め早めに隠蔽し、相手の落ち度は執拗に暴く。そんな世の中とは縁遠く、「気付かぬうちに罪を犯したかも知れない」と頭を垂れ輪をくぐり、浄めを求める夏越の祓は、なんとも長閑で慎ましい。次世代に伝えていきたい神道行事のひとつである。

♬先日ちょうど京都に行きまして
下鴨、上賀茂神社をお参りしました。
早くも大茅の輪がでており
さっそく「輪くぐりさん」をさせていただきました♬
これで私の知らず知らずに蓄積された上半期の邪気は
さっぱりと祓い清めていただけましたでしょうか!?


e0240147_18162432.jpg

[PR]
# by akikomoriya | 2017-06-21 18:18 | ジャポニスムふたたび

呉服町D-labo 絵本「あの日」原画展

e0240147_22120518.jpg
ご案内が大変遅くなり申し訳ないです。
6月20日(火)~29日(木)まで
呉服町D-laboで絵本「あの日」の原画展があります
おはなし会は24日(土)1時30分~3時まで、要予約です。
...
D-laboは伊勢丹斜め前の
無印があった建物の3階です。
スルガ銀行のカルチャースペースです。

そのあと「あの日」は
焼津のおそば屋さん「案山棒」に移動します。
もし呉服町で見逃してしまっても
ここで1か月展示していますので
ぜひお寄りください。
もっと見る
e0240147_22011600.jpg



[PR]
# by akikomoriya | 2017-06-06 22:03 | 絵本

六本木ストライプスペース 「森谷明子原画展」

e0240147_10460630.jpg
六本木ストライプスペース「森谷明子絵本原画展」
無事に終了いたしました。

本当にたくさんの皆様にご来場いただき
思いがけないお客様や
懐かしい方
涙涙の再開もありました。

イベントでは
「あの日」「国褒めの歌」の制作秘話をお話しさせていただき
ご来場の皆さんと
心と心がしっかりとつながったひとときでした。

また「イスラエルパレスチナ 平和への取り組み」では
東大名誉教授の中澤英雄先生に
大変わかりやすいご講義と
ほとんど一般には知られていない
草の根的な双方の平和への画期的な取り組みが紹介されました。
「国褒めの歌」の巻1では
この両者を対等に並べ褒め称えることがひとつのテーマであったので
本当にありがたく、
心強いご講演をいただきました。


「国褒めの歌」のイベントでは
舞の霞さん、朗読の堀江真理子さんのご協力もあり
また映像や音楽も大変素敵に編集していただき
とても美しく穏やかな空間でお話しさせていただくことができました。
この本を作ろうと思った25年間の想いと
各大使館とのやり取り
絵や詩を通じた不思議な出来事など
思いのたけをお話しすることができました。
同じ気持ちを共有できたことに
心から心感謝申し上げます!

会期中はブルガリア大使館からの訪問もあり
ひとつひとつの想いが成就した気持ちでした。

ではでは
今日も一日
世界の平和は一人一人の掌の中に!
e0240147_10460920.jpg
e0240147_10461224.jpg


[PR]
# by akikomoriya | 2017-06-01 10:47 | 絵本

ジャポニスムふたたび 「自然から学ぶ日本の色」

今朝5月15日の朝刊でございます(^^)/
緑の眩しい季節、ぜひひとつひとつの色に心を止めてご覧下さいませ!

ジャポニスムふたたび

   

自然から学ぶ日本の色    日本画家 森谷明子



静岡県立美術館のプロムナードは何と言っても新緑の季節が美しい。木漏れ日に手かざして歩く道々、見渡せば緑という色の多さにあらためて気付く。

日本人と色彩の関係は深い。我々の先祖は、こうした無限とも思われる色彩のひとつひとつに美しい名前を与えてきた。

芽吹いたばかりの柔な芽をさす「萌黄色」。少しくすんだ黄味がかった緑は「柳色」。その裏側は「柳葉裏」。淡い緑青は「浅葱色」初夏に新芽を吹く竹は「青竹色」に「若竹色」。常緑の濃い緑「松葉色」。そして鳥の羽色から見立てた「鶸色」「鶯色」「鴨の羽色」。これらはほんの一部であって、緑系の色だけでも100種は軽く超える名称がある。色彩に対する名称の多さは、日本人が、取り巻く自然の色彩をどれほど愛し、尊重してきたかを示している。

一方同じ色でも油絵の絵の具箱に並んだ色名は、いたって合理的で簡潔である。緑はグリーンだが、黄色がかった緑はイエローグリーン。それが明るければイエローグリーンライト、暗めならイエローグリーンディープ、と言った具合である。分かりやすいが、そこには色彩を自然から学んだ痕跡は見あたらない。

奈良時代にはすでに定評があったという、日本人の色彩感覚の良さと表現技術だが、現在においては、ジブリ映画に代表されるような、日本アニメの背景画にその気質を見ることが出来る。引き込まれるようなトトロの森の色彩の深さ緻密さには、ディズニー映画のCG技術も到底及ばない。

一色一色ごとに丁寧に命名してきた日本人の色への愛情、そしてそれらを染め分け、塗り分けしてきた職人や絵師達の仕事は、19世紀末に海を渡り、それまでヤニ色に閉ざされていた西洋の絵画を、虹色の光の中へと解放する原動力となったのである。
e0240147_18380441.jpg



[PR]
# by akikomoriya | 2017-05-15 18:39 | ジャポニスムふたたび

Hummng Bird

毎日毎日嵐のように忙しくて
今日、やっとやっとハチドリを入稿できました。
しか~し!
チラシを送付した皆さんには「六本木の絵本原画展で初披露します」と
書いてしまいましたが...
22日の初日は納品が間に合いません!!!
ハチドリお求めご希望の方は
23日以降にしてください、本当にごめんなさい!

しかもタイトルはハチドリではなく
「Humminng Bird」でした。

ではでは明日も一日
忙しさにパリパリすることなく
深くゆっくり呼吸しながら
有り難うと良かったねが溢れ出る一日でありますように!

e0240147_21003403.png



[PR]
# by akikomoriya | 2017-05-10 21:01 | 絵本

お蕎麦の「案山棒」

e0240147_21085182.jpg

















今日は娘と焼津の案山棒さんに行きました。
朝蕎麦おいしい~!これで500円???
案山棒さんのお蕎麦は本当に美味しい!!!

「国褒めの歌」の展示も
素晴らしくデザインしてくださり
さすが!!!
奥様は都内の劇団で衣装のお仕事をされていたとこの
ダラダラ並べるしか能のない私とは違いますm(_ _)m
作品を立体的に会場内に配置してくださり
なんだかワクワク感が増し
地球を俯瞰しているような気持ちになりました。

今週末13日土曜日は
3時から作者お話し会があります。
ヘイトスピーチや国家レベルでの疑心暗鬼が蔓延する今という時代
私たち一人ひとりにできることを
制作を通し見聞きしたことを交えながら
お話ししていきたいと思います。

「案山棒」の展示が終わりますと
22日~28日の六本木に行きます。
6月は呉服町D-laboで絵本原画展がありますが
「あの日」が中心となります。
7月はアイセルでもお話し会を企画してくださっていますが
展示は1日限りです。
次に「国褒めの歌」全作品を並べるのは
10月の浜岡の屏風展になるかと思います。
「国褒めの歌」にご興味ある方、ぜひおいで下さいませ!

ではでは今週もまた
世界中どこにいても誰にとっても
夢と希望の広がる輝かしい一週間でありますように!
e0240147_21085965.jpg



[PR]
# by akikomoriya | 2017-05-07 21:12 | 国褒めの歌

Humming Bird



e0240147_23331851.jpg
制作中の「Humming Bird」
こんな感じになりそうです。

装丁は深澤真矢さん!
素晴らしすぎる装丁に見合うように最善尽くしました!

おなじみ南米の民話「ハチドリのひとしずく」の続編を
森谷明子が勝手に創作した、言葉のない絵だけの絵本です。

上質紙なので自由に書き込みも出来て
ノートとしても使えます。

たった1羽で山火事に水滴を落とし続けていたハチドリに
1羽2羽・・・と仲間が増え・・・
やがて空を覆うほどの大群となって山火事に雫を落とします。
自画自賛で申し訳ないですが
大変美しい絵本になりました。

22日からの六本木原画展で初お目見えとなります。
月末からはFAXや牧羊舎HPでも購入できます。
ぜひお手元に一冊どうぞ!

e0240147_23341244.jpg
e0240147_23342494.jpg
ではでは美しい地球は
一人ひとりの手のひらの中に!

[PR]
# by akikomoriya | 2017-05-03 23:41 | 絵本