人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ジャポニスムふたたび 80話          ただ「見る」行為の尊さ


ジャポニスムふたたび 80話          ただ「見る」行為の尊さ_e0240147_22010572.jpg

毎日毎日寒いです・・・冷えます・・・

早く春が来ないかな・・・

今月のジャポニスムふたたびはなんと80話になりまして

8年近く連載しておりますことに気付きました。

あらためて読んでくださる皆さまと、静岡新聞の編集の掛井さんと

ずっと応援して下さっているユネスコの秋田さん・・・

有難うございます<(_ _)> 

あと一年くらいは続けようと思っております。

引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。


ただ「見る」行為の尊さ

河の辺の つらつら椿 つらつらに 見れども飽かず 巨勢の春野は

万葉集・巻一・56の歌である。

 「つらつら椿」は語呂もよく、ふと口を突いて出る心地よさがある。まだ春浅き山野を歩けば、深い緑の茂みの中に、赤い藪椿が灯りのように見える。少しうつむき加減に咲く姿もなんとも可愛らしい。つい時を忘れ、つらつらと椿に見入ってしまう。

 さて、「見れども飽かぬ」は今の言葉で言えば「見飽きない」ということで、万葉集の中では慣用句のように使われている。

 富士山を讃える高橋虫麿の長歌にも「・・・駿河なる富士の高嶺は見れど飽かぬかも」とあり、富士山を仰ぎつつ「見ても見ても見飽きることがない」と感じる気持ちを、時代を超えて共感することができる。

 前置きが長くなったが、日本には「見る」という文化がある。たとえば「花見」「月見」「雪見」といった具合に、ただ「見る」という行為を尊ぶ文化である。見たからといって、その先に何かがあるわけではない。ただ「見る」という行為が尊いのだ。

 人は何かを見ている時、実は目の前にある風景だけではなく、様々な思いを巡らせている。過去の出来事や、誰かとの会話、あるいはこの先のことなど、何かを眺めながら、つらつらと思い巡らしている。

 そして、「見る」という静寂の中で、人は己の思いを客観視し、あるいはリセットし、あるいは、見て見て見入るうちに、心が澄み清まって、花や月や雪からも、直観的に何らかを受けとることが出来る。

「ただ見る」という行為は、実は自分の心の状態を整理し、浄める効能がある。いにしえの人々は、この「見る」という行為を重んじた。

「見れども飽かぬ」。心を透明にし飽きることなく対象に見入る人でありたい。私の好きな万葉集の言葉である。


# by akikomoriya | 2022-01-25 22:05 | ジャポニスムふたたび

みなさまのお作品♬

3カ月ぶりの「みなさんのお作品」です♬
私なんかよりずっと意欲的な皆さん。
本当に勉強になります。
今回は秋の風物がたくさん!
まずはHさまです。
みなさまのお作品♬_e0240147_08480633.jpg
みなさまのお作品♬_e0240147_08481079.jpg
グレーの使い方がとてもお品良いHさま。
すすきの繊細な穂の動きをよくとらえておられます。
自然なうねり、自然な曲線というのが一番難しいです。
Hさまの描写力にはいつも頭が下がります。

みなさまのお作品♬_e0240147_08482460.jpg
猫じゃらしにトンボ、いいですね。
緑の色を丁寧に使い分けて深みが出ました。
トンボも自然に描けましたね!
グレー、緑、黄色、臙脂、ちょっとモダンな色遣いです✨

みなさまのお作品♬_e0240147_08483475.jpg
お次はTさまのひまわり。
今回は背景にこだわりました。
ふわっと柔らかい感じの背景に、ヒマワリの後姿が映えます。
速水御舟の桔梗にも後姿のものがありましたね。↓
お花の後姿、なんともりりしい。

みなさまのお作品♬_e0240147_20092804.jpg

みなさまのお作品♬_e0240147_08481961.jpg
Kさまの蓮。
いつも黙々と、ぐんぐん描いておられます。
蓮がだんだん遠くになっていく様子が伝わります。
向こうの方をもやでぼかしたのがいいですね。
膠の濃度の具合もだいぶ慣れてきましたね。
F4の小さな作品ですが、広さを感じます。
今度は大きな画面に挑戦しましょうか!?

みなさまのお作品♬_e0240147_20141850.jpg
続いてNさまの桃です♪
随分苦労されました。シミとムラが出てしまって
最初の膠が弱かったのかな…?
でも最後とても良い感じにまとまりました。
桃の色もいいですね~
日本画はピンクの種類が何故か少なくて苦労します。
淡い黄色とうっすら毛が生えている感じが出てますね~!
美味しそうです!
みなさまのお作品♬_e0240147_08484688.jpg
Nさま2点目。
「おもちゃかぼちゃ」って言うのだそうですよ!可愛らしいです。
背景に銀箔を張って炭を入れた胡粉を引きました。
黄色が透明感があって素敵・・・
かぼちゃの質感をよくとらえております。
なかなか良いお作品です・・・

みなさまのお作品♬_e0240147_08484147.jpg
Tさまはこの椿がお気に入り!
ゴージャスですよね~!
荒めの方解末に丹念に色を重ねました。
緑がかったブルーが効いてますね~!
過敏を真っ白にしたのも正解でしたね!
ひとつひとつ悩みながら、最後ばっちり決まりました💛

みなさまのお作品♬_e0240147_08485234.jpg
富士山がお得意のNさま!
紅葉は以外にも難しかったですね!
形をとるのが難しいのですよね~
でもこれまたばっちり決まりました。
しかも、遠くにかすむ紅葉の山がまたいいですよ~!
富士山の影を
薄緑にしたのもよい選択・・・
私には思いつかない発想を、Nさまはたくさんもっておられます。
いつも勉強になります。

皆さまのパワーにいつも心から感心しております・・・
私も触発されてまた頑張ろうという気になります。
いつも本当に有難うございます!

ではまた年明けのお教室で
皆さまの笑顔をお待ちしております💛




# by akikomoriya | 2021-12-22 20:28

ジャポニスムふたたび 79話

ジャポニスムふたたび 79話_e0240147_08443440.jpg

みなさまこんにちは!今日は冬至です。

明日からまた清々しい気持ちで一念を始めたいですね!では月曜日朝刊のジャポニスムふたたびです♬


今年4月、ジャーナリストの立花隆が他界した。宇宙飛行士らの宇宙での体験や、意識の変化について取材した『宇宙からの帰還』は、月面に立つこともない一般人の意識すらも、大きく揺さぶる名著であった。

 「宇宙体験をすると、前と同じ人間ではありえない」という宇宙飛行士の証言がここには記されている。静謐(せいひつ)な無重力空間から地球を眺めていると、この地上に戦争があること愚かしく感じるという。彼らの中には、不可思議な神秘体験や、なんらかの意識の変化を体験し、帰還したちに、聖職者や詩人や環境活動家になった者もいる。

 さて、日本には、「国見の歌」というものがある。天皇などその土地を統治するものが、山の上に登って国を眺め、国土を讃え、人々の安寧を祈願する歌である。

 長らく日本を統治してきた天皇とは、いわば神道の最高神官であり、その仕事が「祈り」であると、近年多くの人に知られるようになった。その祈りとは、具体的な文言が公表されることはないものの、日本国と世界の人々の平和と安寧を祈願するものである。

 人類の歴史を振り返れば、争いごとの連続で、日本もその例外ではない。しかし、天皇の祈りとは、そうした人間社会の喧騒と一線を画した位置にある。

縄文が起源とも言われるこの祈りは、あらゆる社会的事情とは別次元の意識を根底に発生したと思われる。国内はおろか、対外国との戦いの最中にも、淡々と継承され今日に至る。

地球を俯瞰した宇宙飛行士のエピソードは確かに衝撃的であったが、その一方で、人目に触れぬ宮中の深部で言挙げされ続ける祈りと、宇宙空間で感じ得る意識とは、どこか似ている。

どちらも世界を俯瞰する静謐な祈りである。

あらためて、来る年がすべての人々にとりまして、平らかなる幸多き一年でありますように。



ジャポニスムふたたび 79話_e0240147_08443440.jpg

# by akikomoriya | 2021-12-22 08:46 | ジャポニスムふたたび

個展のお知らせ

個展のお知らせ_e0240147_02434318.jpg
個展のお知らせ_e0240147_02435132.jpg

森谷明子 日本画展

 2021年11月18日(木)~29日(月)

 『亀山画廊』⒒:00~18:00 (最終日16:00まで)

 静岡市鷹匠2-4-40サン・サウス静岡1F ※駐車場有

 054-252-5040


土日祝日は終日おります。


# by akikomoriya | 2021-11-07 02:45 | 日本画

ジャポニスムふたたび77話

ジャポニスムふたたび77話_e0240147_22484149.jpg

山を神とみなす文化 今も脈々と

 富士宮市にある「山宮浅間神社」は、山を神とみなす縄文由来の日本の信仰を、現在に伝える貴重な神社である。

まず何より社殿が無い。鳥居をくぐったその奥には、ただ悠々とした富士の雄姿のみが目前に広がる。ここは、神なる富士を遥拝する聖域である。

また同市では、1万3千年前の縄文遺跡から、富士山を遥拝したであろう石積みが見つかっており、近くには同じく富士山を遥拝できる縄文のストーンサークルもある。縄文時代から富士山は神であった。

富士山ばかりではない。日本人は山を拝む(おろがむ)民である。山は神である。そして、山頂に「本宮」を置き、ふもとに「遥拝所」を設ける。これが神社の起源につながる。

筑波山、大峰山、位山、出羽三山、三輪山などの霊山や神奈備山から、地域の里山まで、日本列島内には「神なる山」が無数に存在する。それら縄文由来の「山を神とみなす」文化の、国内最大の事例が、「富士山信仰」なのだ。

現在においては、山を神とみなすことで、何らかの経済効果があるわけでもない。しかし、江戸時代までの日本列島内で、際立った環境破壊が見られなかった理由は、山をはじめとする自然の中に「神」がいたからである。自然の中に神聖さを見出せるか否かで、今後の地球社会の在り様は、大きく異なってくるにちがいない。

静岡県は縄文色の大変強い地域である。特に富士山周辺には、縄文草創期、早期の遺跡も多い。縄文文化とは、決して遠い過去の遺産ではなく、現代社会の中のそこかしこに、今も脈々と受け継がれ息づている。山を神とみなす文化もそのひとつである。

静岡県から世界に向けて、霊峰富士の美しさだけではなく、その文化を通して、縄文由来の調和的で持続可能な世界観を、発信していきたいと思う。



# by akikomoriya | 2021-10-07 22:50