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絵本の楽しみ ④

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ヘンリー・ウイルビーク・ル・ミラー クリスマスキャロルより

オランダ人の画家、ル・ミラーの作品が大好きです。聖母子像は世界に数多ありますが、こんなに温かい聖母子像はないとおもっています。ル・ミラーの作品が温かいのは、作者が女性だからではないかと、単純に思います。実際世界の名画のほとんどが男性の作者なのですね。

またル・ミラーの描く聖母マリアの魅力は、美しく、優しく温かいだけではなく、何故か強くりんとしたものがあるように私は思います。全身全霊を持ってひとり子を守るような強さが。実際キリストは母の目の前で十字架に磔られ、死に至るまでの三日間を世話したのも母であり、その死体を引き取ったのも母マリアなのですから、強い人でなければキリストの母にはなれなかったでしょう。


ル・ミラーは大変恵まれた環境に生まれ、早くから絵の手ほどきを受け、10代で絵本作家としてデビュー。結婚して子供にも恵まれ、その後夫とともにイスラム教スーフィー派の信者となります。それ以前は愛らしい夢のような子供の絵ばかり描いていたル・ミラーはイスラムの神秘主義に出会った後、東洋的で神秘的な画風へと一転します。彼女の作品のほとんどはスーフィーが所有しているらしく、作品があまり知られていない理由の一つかと思います。ちなみに手元にあるクリスマスキャロルも超レアもので、もう一冊、と思っているのですが、なかなか入手できません。


イスラム教というと日本ではなじみがありませんが、根本は愛の教えです。ヘブライ語で「シャローム」とかアラビア語で「サラーム」とかいう挨拶の言葉は語源が同じで、いずれも「あなたの心に平安を」という意味です。つまり、誰かに会うたび、別れる度に相手の幸せと平和を互いに祈りあう文化なのです。

晩年は慈善事業など人々のために人生を捧げたというル・ミラーの作品は、すでに若い頃の作風からも、取り巻く世界を温かく見つめるまなざしが感じられます。


ところで、先日NHKの番組で、守護天使はいるのか、という内容の放送がありました。いるかいないか、という問いをする以前に、すでに天使の絵やお話のなかで育った私には、逆に奇妙な感じがしてしまうのですが、ひとりひとりの心の中に、自分を導いてくれる確かな存在はやはりいると思うのです。先日、ブータンのワンチク国王が被災地を訪れた際のスピーチが放送されました。それは「一人一人の心の中に龍は住んでいる。その龍はその人の経験を食べて成長する。強い龍になろう。」というものでした。お若いにもかかわらず品格ある国王様でした。哀れみでも同情でもない、毅然としたそして心からの励ましでした。思わず涙が出ました。


天使や龍がいるかいないかと言うより、そうした神秘な存在に、人は導かれて生きていると確信して生きている人は、自然体なのにどこかりんとして、強い印象があります。

ル・ミラーという女性もきっとそんな人ではなかったかと、ひとり想像を広げています。

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Little song of long ago

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Little green rhyme book

by akikomoriya | 2011-11-22 23:51 | おしゃべり
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