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絵本の楽しみ ⑦

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至光社「こどものせかい」より「じゃむじゃむどんくまさん」 絵・柿本幸造 文・蔵冨千鶴子  

受験生の子供の勉強を見ながら(見張りながら?)ぼちぼち更新しているブログですが、自分で思っていた以上にたくさんの人が見ていてくださったと知り、恐縮しております。勝手なつぶやきをどうぞ気楽に読み流してくださいませ♪
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しばらく続けてきた「絵本シリーズ」ですが今日が最後です。また幼稚園時代に戻りますが、「こどものせかい」に度々登場した「どんくまさん」シリーズです。

おっちょこちょいなどんくまさんは、いつも失敗ばかり。ある日、おもしろがってリンゴの木を揺すって遊んでいたら、おまわりさんに叱られてしまいます。けれどそれがきっかけで、リンゴの木持ち主(ジャムやさん)のお手伝いをすることになります。おいしく煮えたりんごジャムを町まで売りに行き…ジャムは全部売れたけど…、お金をもらってくるのをすっかり忘れてしまいました。

ジャム屋のおじさんにこんどこそひどく叱られて…でも最後はまた思わぬ展開で、笑顔で締めくくられます。
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柿本さんの作品はどれも、おのずとお人柄を映し出すような温かな筆遣い。微妙に混色された中間色と、輪郭をはっきりさせない柔らかさが魅力でした。白い余白も、風の気配も何もかもが温かく優しいのです。

社会人になって高校生に美術を教えるようになり、あることに気付きました。それは、混色して色を作るのが苦手な子が多い、ということ。チューブから出した色をそのまま並べるので、味気ない作品になってしまいます。この頃は「ピンクってどうやって作るの」などといった、あまりに基本的な質問も多く、絵を描いて育ってないんだな~と思い知ります。

もうひとつ思うことは、枠からはみ出るとうろたえることです。絵というとアニメ画やゲームのキャラクターしか知らないので、塗り方はべた塗りで、枠からはみ出ると失敗なのです。堅くて柔軟性に欠いた作品が目立ちます。淡いにじみや柔らかい輪郭を知らずに育ったのだと分かります。

自然界の風景は、どれも形は曖昧で、水平線や、雲と空の境目など、一本で線を引けないものばかり。海と空が交わるあたりの表現は、海の色と空の色が微妙に混じり合って出来上がります。また雲と空の境目は、雲が限りなく薄くなって、空と同化します。そんな微妙な変化と優しい「曖昧さ」が私は好きです。木のはっぱ一枚とっても、その葉は光を反射し、風に揺れているわけですから、そのゆらぎを表現するためにも、印象派の画家たちは曖昧で柔らかな輪郭を好みました。モネやルノワールがよい例だと思います。

色々な絵本を目にしますが、柿本さんの温かさに勝る作品には、なかなか出会えません。

ところで、私が絵本に親しむことができたのは、ひとえに絵本を大切にしてくれた母のお陰です。幼稚園から持ち帰る月刊誌を丁寧に保管し、また、読み聞かせしてくれ、それ以外にもよく絵本を買ってくれました。書店に行って、「好きな本を持っておいで」、と言われたことが何度となく記憶にあります。我が家は、父も母も物作りが好きで人情家、絵本好きな子供が育つにはよい環境だったと心から感謝しています。

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by akikomoriya | 2011-12-05 00:50
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