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龍の話 ③

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前回浅間神社天井絵の「八方睨の龍」をご紹介しましたので、今日は「四方睨の龍」をご紹介します。
同じく狩野派の「狩野寛信」による作品ですが、八方睨の龍を描いた「狩野栄信」と違ってこちらは若い!作品も若さと勢いがあります。しかし、幕府側と何らかの摩擦があったようで…切腹をして若くに亡くなっております。と言うわけで、作品数も少なく、静岡浅間神社のこの作品は非常に貴重なのですね。
御用絵師というのはなかなか大変なもので、時の権力者のお気に入るように、ご機嫌を損ねないように…常に気を配っていないと、仕事が来なくなっちゃうのですね。あるいは家がおとりこわしになったり、切腹を命じられたり…こうなるとなかなか深刻です。今のように勝手なことをしてなんでも「アート」とひとくくりに芸術家を気取ることはできません。

一方、栄信は人柄も温厚な方だったらしく、一派をまとめる頭領にふさわしい方。幕府ともほどほどに折り合いを付け、一派を守ったのでしょうね。

「寛信」と「栄信」、対照的な二人の絵師の生き方ですが、どちらの気持ちもよく分かります…。最高の作品を提示してもそれを理解されなかったり、商業ベースに乗せられないと断られたり…。日本橋の画廊のオーナー曰く「一般市民の感覚は50年古いですからね」
発注者の感覚に合わせて、涙をのんで描き直すこともあります…そこで絵師の意地を見せるか、所持者の満足感を優先するか…です。基本的に感覚の合わない人とは仕事はしない方がよいと言うことを、最近しみじみ感じます。

しかし、相手が幕府ですとそうも言っておられません。

ただ、こういった体勢から離れて、つまり破門されて、自由に絵を描き続けた絵師もいます。英一蝶や久隅守影などがそうです。この二人の作品が私はだ~い好きなのです♪またそのうちご紹介します♪

勝手に描いて勝手に発表できる今の時代はしみじみ幸せでございますね~♪

ところで静岡浅間神社天井絵は他に栄信・寛信の作品があわせて6枚あり、いずれも天女の絵です。これがまた素敵!是非ご祈祷を依頼されて大拝殿にて実物をご覧くださいませ♪
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by akikomoriya | 2012-01-10 00:19 | おしゃべり
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