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風の形


週末の嵐と ここ数日の強風で
桜もすっかり散り果てました。

この春は
アスファルトの上に落ちた桜の花びらが
風に舞ってまるく渦になって飛んでゆくのを
何度か見かけました。

風は見えないけれど
こんな時
花びらが風の形をかたどってくれていることに気付きます。

ところで
百人一首の中で一番好きな歌は
春の嵐の歌です。

花さそふ 嵐の庭の 雪ならで
   ふりゆくものは 我が身なりけり

        入道前太政大臣 藤原公経


 桜の花びらがまるで 雪のように降っているが
 実は老いさらばえて古(ふ)りゆくのは
 この私自身なのだ

と言う意味の
まあ老人のつぶやきみたいな歌なんですが
その訳を知る前からなぜかこの歌が好きで…
自分の中のイメージは…
 
さらさらと散りゆく吹雪のような桜の花びらの中で
無心になってその花びらを拾い集めて遊んでいる少女が
ふと我に返って振り向くとき
その顔はすでに老婆になっていた…

そんな風景が見えてくるのです。

子供のころから何故か
人の一生はあっという間なのだという思いが強くて
死を前にした老人の気持ちのようなものを
常に抱いているような
妙にませた子供でした。

いつか自分も死ぬんだと思うと
何故かホッとする。
ずっとこの世に生き続けるのではなく
ちゃんと死ねるんだと思うと
この世の不条理も大らかに見られる。
たいていのことは、まぁいいかで許せる気もする。
そんなにガツガツしなくても
いつかはみんな死ぬ。
憎しみや怒りや不安といった
心がカスカスするような感情に振り回されて生きるよりは
一瞬でも長く美しいものを味わって生きたいと思うし
すべきことをどんどんやっていかないと
死はあっという間に訪れる…そんな風にも思う。

亡くなった祖母が90年の歳月を
「この片手の上のあっという間の出来事」と言っていたっけ。

…花さそう 嵐の庭の雪ならで…
この季節一日に何度も何度も
この歌を思い出してしまいます。

我が家の庭では
早くも八重桜が咲き始め
今年は季節が早め早めに巡ります。
赤ちゃんみたいな優しい色にふんわりと咲きました。

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by akikomoriya | 2013-04-09 23:06 | おしゃべり
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