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ジャポニスムふたたび 6

「ジャポニスムふたたび」の6回目が
6月5日の静岡新聞夕刊に載りました。 
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戦後70年に知る公望公の先進性
                         日本画家 森谷明子    

静岡市興津にある坐漁荘は、幕末から昭和を生き抜いた元老、西園寺公望の別邸である。徹底した平和外交で知られ、その進歩的思想ゆえに暗殺の危機にさらされる身となり、晩年はこの「坐漁荘」にて日本の将来を杞憂しつつ、太平洋戦争勃発の前年この地にて他界した。
その公望公は1900年(明治33年)のパリ万国博覧会における日本ブースの出展にも深く関わり、ジャポニスムを積極的に推進する優れた文人でもあった。公望公をはじめとする政府高官らのジャポニスムへの期待とは、軍事力ではなく文化の高さをもって日本の価値を世界に知らしめることであった。
日本の文化である「和」とは、人と人、人と自然、人と宇宙がひとつに和する試みである。和歌俳諧に始まり、茶花道、武道、建築造園、絵画工芸に至るまで、和の文化に触れる者は多かれ少なかれその深遠なる精神世界を垣間見ることになる。それは世界に対し新しい価値観を提示するとともに、日本の価値を高めることにも繋がる。「強い国ではなく尊敬される日本に」というのが公望公の理念であった。
ジャポニスムを推し進める人々の、文化の相互理解をもって戦争を回避させようとする理念は、奇しくも第二次世界大戦直後に発足したユネスコがその憲章の前文に掲げる趣旨と見事に重なる。それを思う時、公望公がいかに進んだ視野を持った人物であったかを思い知る。 
 ところで以前、公望公の曾孫にあたりユネスコ国内委員もつとめる西園寺裕夫氏からご自身の活動について伺う機会があった。日本の古き良き心を世界に伝えるべく、地球規模の「和」の試みを提案しているとのこと。文化の力によって世界に平和をもたらすことができるのならばこれほど素晴らしいことはない。「和の国日本」が担う役割は今後ますます大きい。

by akikomoriya | 2015-06-05 21:02 | 日本文化
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