人気ブログランキング |

茨木のり子 「水の星」



私が生まれた1969年という年は
人類が初めて月面に立ち
地球を俯瞰した年でした。

青い色が好きだけれど
その青は
空の青なのか
海の青なのか
ずっと考えていたけれど
自分の好きな青色は地球の青だったんだとあるとき思った。

明日は8月15日
日本の終戦記念日に追悼の念を捧げると共に
世界の終戦記念日がいつの日か訪れるよう
心から祈ります。

ちなみに今日アップした絵は
1969年のアポロではなく
1961年のボストークをモチーフにしたもので
制作中の「世界各国国褒めの歌」のロシアのページです。

詩は私のものではなく
お気に入りの「茨木のり子 水の星」をご紹介いたします♪

e0240147_1241487.jpg

『水の星』   茨木 のり子


宇宙の漆黒の闇のなかを
ひっそりまわる水の星
まわりには仲間もなく親戚もなく
まるで孤独な星なんだ


生まれてこのかた
なにに一番驚いたかと言えば
水一滴もこぼさずに廻る地球を
外からパチリと写した一枚の写真


こういうところに棲んでいましたか
これを見なかった昔のひととは
線引きできるほどの意識の差が出てくる筈なのに
みんなわりあいぼんやりとしている


太陽からの距離がほどほどで
それで水がたっぷりと渦まくのであるらしい
中は火の玉だっていうのに
ありえない不思議 蒼い星


すさまじい洪水の記憶が残り
ノアの箱舟の伝説が生まれたのだろうけれど
善良な者たちだけが選ばれて積まれた船であったのに
子子孫孫のていたらくを見れば この言い伝えもいたって怪しい


軌道を逸れることもなく いまだ死の星にもならず
いのちの豊饒を抱えながら
どこかさびしげな 水の星
極小の一分子でもある人間が ゆえなくさびしいのもあたりまえで


あたりまえすぎることは言わないほうがいいのでしょう


by akikomoriya | 2015-08-14 12:47 | おしゃべり
<< みなさまのお作品♪ くた~っと すい~っと >>