霊威込めた日本の宗教画

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静岡新聞 月曜日朝刊です♪

ジャポニスムふたたび  ~「霊威込めた日本の宗教画」~

                    日本画家  森谷明子

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 十月は「神無月」というが、これは一年に一度日本中の神々が出雲に集まり会議をするため、全国の国津神様が留守になるからだという。逆に出雲ではこの月を「神在月」と言うから面白い。2000年には直径3m以上もある古代神殿の柱が出土し、古代の出雲大社が高さ48mもの巨大神殿であったとする説で湧いた。
 神話の世界と史実とが混然とする出雲大社には、いまだ多くの謎があるのだが、その秘め事のひとつとして、「八雲之図」がある。
 8年ほど前、六十年に一度の出雲大社御本殿の建て替えに際し、日頃非公開となっている天井絵の「八雲之図」が一般公開となり、拝観させて頂く機会に恵まれた。何かが脈打ち息づき迫り来るような異様な気配を感じさせる極彩色の雲の渦。神聖なご本殿の天井に、何故雲など描くのか、その詳細について知るべき文献はない。ただ古来より雲は霊気の現れとして、渦はエネルギーの象徴として描かれているモチーフであることを考えると、国家鎮護という重大な役割を担う出雲大社の、そのご本殿を護るにふさわしい八雲之図であった。
 西洋における宗教画とは、受胎告知にはじまるキリスト誕生物語や様々な聖書物語を、文字の読めない人々にも分かりやすく伝えるための、いわば視覚伝達としての役割を負っていた。一方、日本における宗教絵画とは、その作品そのものに何らかの「霊威」を込めようする試みが見られる。
例えば天井に描かれた龍を見つつ、実はそこに込められている「何か」に、人々は期待しているものである。言葉に命やエネルギーが宿ることを「言霊」というように、形にも「形霊」なるものがあったという話を聞いたことがある。
形あるものに命を吹き込む。形に対する日本独自の考え方である。


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by akikomoriya | 2016-10-04 23:24 | ジャポニスムふたたび
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