![]() 月曜日静岡新聞朝刊です♪ 当時の日本は、今では考えられないほど国家としては脆弱で、最新の知識と技術を習得するために、有望な若者や学者の多くが遣唐使として派遣された。生きて帰れる保障もないその命がけの船出に際し、人麻呂は言霊の歌を贈っている。 「敷島の 大和の国は 言霊の 助くる国ぞ ま幸くありこそ」 (我が国は言霊によって幸がもたらされる国なのです。どうかこの言葉通りにご無事でお帰り下さい。巻13-3254) これは反歌だが、対になっている長歌の方はさらに力強く、万葉集4500首の中でもひときわ異彩を放っている。 人は誰しも幸を求めて生きるものであるが、その幸とは何によってもたらされるのだろうか?ある人は努力によって、またある人は生まれ持った運だという。しかし古代の日本人は、自らの語る言葉が自らに幸をもたらすと考えていた。言葉のもつ神聖な力を言霊と称し、あえて美しい言葉、叶ってほしい言葉を魂を込めて丁寧に語り、災いの元凶となりうるような禍々しい言葉を慎んだ。 言霊とは、遙かな古代から脈々と受け継がれてきた日本独自の文化であり、生きた知恵であり、信念でもある。技術や知識が劣っていても、我が国には尊い言霊がある、人麻呂は異国へと旅立つ人々に、そのことを伝えたかったのではないだろうか。 さて、師走に入り新年を迎える準備に忙しい。大晦日の一夜が明けると「明けましておめでとうございます」の挨拶が交わされる。来たる年が、言霊の力によってよりめでたく幸多きものとなるよう、日本人として心してこの一言を、大切な人達と交わしたいと思う。
by akikomoriya
| 2016-12-08 20:40
| ジャポニスムふたたび
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