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ジャポニスムふたたび 22

                                   

お知らせ遅くなりましたm(_ _)m 昨日20日の静岡新聞朝刊です(^^)/

ジャポニスムふたたび
   
日本人の桜好き ルーツは吉野           日本画家 森谷明子...
 
 日本人の桜好きのルーツを紐解けば、それは奈良県吉野山の山桜である。
飛鳥時代に実在した修験道の開祖「役行者(えんのぎょうじゃ)」が、この地で感得した金剛蔵王権現を山桜の木に彫って祀ったことに始まり、行者を慕う人々が、ひとりまたひとりとこの山に桜を植え、ついには桜の山になったという。
 桜は神宿る木として知られ、吉野は信仰の山となった。
さて、ひとつの山の峯が桜で埋め尽くされるほどに、人々を吉野に向かわしめた役行者の魅力とは、いったい何だったのだろう。役行者の伝承には、いわゆる天空飛行やワープなど、超人的な神通力がついて回る。その最高位にある神通力「漏尽通」とは、漏(煩悩)が尽き果て自由無礙になり、神仏の心を自らの心とする境地だという。
 しかしながら、修行三昧の修験者ならともかく、喜怒哀楽が錯綜し、病老死苦にあえぐ煩悩多き日常に生きる庶民が、神仏の心を体得するなど至難の業である。桜はそんな平凡な人間の日常に、そっと寄り添ってきたのではないだろうか。
 淡紅色の花びらは見る者を慰め、美しいままに散る様は諦観を、枯れ枝に吹き出す花芽は生命の逞しさを教えてくれる。そしてまた、ひっきりなしに散りつづける花びらの下で、人は我を忘れ時を忘れ、しばし清浄な世界に身を置くことが出来る。
 かつて手に手に桜の苗木を持ってこの山へ通った人々は、春ごとの桜に救いを見た名も無き人々に違いない。薔薇や牡丹のような香りも華やかさもない桜が、これほど日本人に愛されるようになった所以は、やはり吉野である。
 役の行者に始まる日本人の桜好きは、江戸時代の改良種「染井吉野」の登場により一層の華やかさを増し、春ごとに日本人の心を和ませあたため、ついには日本の代名詞となって世界中で愛される花となったのである。

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by akikomoriya | 2017-03-21 20:55 | ジャポニスムふたたび
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