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ジャポニスムふたたび

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★~今朝の静岡新聞朝刊です~★

ジャポニスムふたたび
   
たんぽぽから 洋の東西みる       日本画家 森谷明子...
 
静岡市内にある日本平周辺では、在来種の日本たんぽぽの群生をよく見かける。場所によっては東海地方としては希少な白花たんぽぽも見られ、在来種の繁殖を確認しながら山歩きするのが、この時期の日本平散策の楽しみのひとつとなっている。
おしなべて西洋種に対して和種というものは、様々な面で劣勢となる場合が多い。意識して守っていかなければ絶滅の危機に追いやられかねない儚さが「和」の宿命なのだろうか。それは文化の面でも同じことが言える。
たとえば美術の授業で鉛筆デッサンはあっても、水墨画を学ぶ機会は少ない。目に見えるものを、見えたとおりに描く西洋と、目には見えない「命」や「気」を捉える東洋。技法的に見ても、描いては消しの微調整の果てにたどり着く西洋と、二度描きを好まない筆勢重視の東洋とでは、留意すべき点も対極である。
また家庭科でジャンパースカートの裁縫は学んでも、浴衣の縫い方を習うことはめったにない。洋裁は布を人の体の曲線に合わせて裁断するが、和裁は人の体形ではなく、四角い布の形を生かした仕立てとなる。古くなった着物は、ほどかれてまた元の四角に戻り、布団の皮になり、赤子のおむつになり、最後は雑巾や鼻緒になり、四角い形が最後まで変わらないことで、極限までの再利用を可能にしている。
東洋と西洋、真逆の価値観を持つ双方の利点を引き出し、新たな文化の潮流を生み出すにはまたとない日本という土壌の上で、残念ながら西洋種が圧制している。ひとつの文化が消えるとき、それを支えてきた精神もまた消滅する。
日本平中腹の舞台芸術公園では西洋たんぽぽと日本たんぽぽが、その勢いを分けている場所がある。ちなみに萼が反り返っているのが西洋種、上向きにまっすぐが日本の在来種である。


by akikomoriya | 2017-04-17 08:06 | ジャポニスムふたたび
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