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ジャポニスムふたたび 「自然から学ぶ日本の色」

今朝5月15日の朝刊でございます(^^)/
緑の眩しい季節、ぜひひとつひとつの色に心を止めてご覧下さいませ!

ジャポニスムふたたび

   

自然から学ぶ日本の色    日本画家 森谷明子



静岡県立美術館のプロムナードは何と言っても新緑の季節が美しい。木漏れ日に手かざして歩く道々、見渡せば緑という色の多さにあらためて気付く。

日本人と色彩の関係は深い。我々の先祖は、こうした無限とも思われる色彩のひとつひとつに美しい名前を与えてきた。

芽吹いたばかりの柔な芽をさす「萌黄色」。少しくすんだ黄味がかった緑は「柳色」。その裏側は「柳葉裏」。淡い緑青は「浅葱色」初夏に新芽を吹く竹は「青竹色」に「若竹色」。常緑の濃い緑「松葉色」。そして鳥の羽色から見立てた「鶸色」「鶯色」「鴨の羽色」。これらはほんの一部であって、緑系の色だけでも100種は軽く超える名称がある。色彩に対する名称の多さは、日本人が、取り巻く自然の色彩をどれほど愛し、尊重してきたかを示している。

一方同じ色でも油絵の絵の具箱に並んだ色名は、いたって合理的で簡潔である。緑はグリーンだが、黄色がかった緑はイエローグリーン。それが明るければイエローグリーンライト、暗めならイエローグリーンディープ、と言った具合である。分かりやすいが、そこには色彩を自然から学んだ痕跡は見あたらない。

奈良時代にはすでに定評があったという、日本人の色彩感覚の良さと表現技術だが、現在においては、ジブリ映画に代表されるような、日本アニメの背景画にその気質を見ることが出来る。引き込まれるようなトトロの森の色彩の深さ緻密さには、ディズニー映画のCG技術も到底及ばない。

一色一色ごとに丁寧に命名してきた日本人の色への愛情、そしてそれらを染め分け、塗り分けしてきた職人や絵師達の仕事は、19世紀末に海を渡り、それまでヤニ色に閉ざされていた西洋の絵画を、虹色の光の中へと解放する原動力となったのである。
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by akikomoriya | 2017-05-15 18:39 | ジャポニスムふたたび
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