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ジャポニスムふたたび

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月曜日 静岡新聞朝刊 P5です♬
『ジャポニスムふたたび』

   
万葉集に見る自由と平等      日本画家 森谷明子...
 
「自由と平等」という言葉を聞くと、それは民主主義の代名詞のように思われるが、なになに千数百年もの昔に、我が国にはその概念がすでにあった。
 『万葉集』の価値とは、4516首という圧倒的な量もさることながら、特筆すべき点は、為政者や王と並んで、いわば彼らに隷従する防人や遊女、地方の農民の歌が、同じ歌集の中に等しく編まれている点である。
歌の内容も様々で、国家の神事に関わる歌もあれば、忍ぶ恋、嫉妬心、方言そのままの素朴な「東歌」など、それぞれの想い方や感じ方の自由をどこまでも尊重する編者の意図の温かみが、万葉集の最大の魅力といえるだろう。
また作者の氏名を律義に明記している点も称賛に値する。作者が不明なものも「詠み人知らず」とし、決して軽んじることは無い。
 近年「著作権」という権利のもとに、表現者の権利が保護されるようになり、作品にはプロアマに限らず氏名を表示される権利が与えられるようになった。したがって、絵画の世界でも、幼稚園児の可愛らしいお絵かきから、高名な画伯の作品まで、その表現は等しく尊重され、氏名を表示される。
 しかしながら、こうした法の制定を待たずとも、万葉集の時代、すでに一個人の表現と権利を丁重に扱う気風があった。世界広しと言えど、こうした自由と平等の概念を現存最古の歌集の上で示したとは、驚くべき事実である。
身分の上下や社会制度というものは、所詮人間が便宜上作り出したものであるが、個々人の想像力の源は、神聖なる閃きによるものである。日本人はそうした個々の表現をどこまでも尊ぶ民族であったと、それを誇りに思うと同時に、封建社会の真っただ中でこれを実行した編者、大伴家持らの恐れを知らぬ行動力に、ただただ感服するのである。



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by akikomoriya | 2018-04-16 20:52 | ジャポニスムふたたび
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