本日朝刊です♬『ジャポニスムふたたび』 日本の「和」に感じる有難さ
愛の教えとして知られるキリスト教であるが、実際聖書の中で最も多く登場する語彙は「喜び」に関するもので、「喜び歌え」「喜びおどれ」「主にあって喜びなさい」など、なんと八百回近くも登場するという。... またキリスト教の神、唯一絶対神(ゴッド)が望んでおられることとして「常に喜べ」「絶えず祈れ」「どんなことにも感謝せよ」(テサロニケ5章)ともあり、喜ぶと同時に絶え間ない祈りと、あらゆる事象に対する感謝が説かれている。さらには苦悩さえも神から与えられた試練とし、「感謝」の対象となるのがキリスト教の教えである。 ところで、日本の神は「八百万の神」といって、山川草木に祖霊精霊、取り巻くすべてを畏敬の対象とした。その霊験に感謝するのが日本人の古くからの信仰であった。キリスト教と神道は、一神教と多神教という一見真逆の世界観を持つように見える。しかし、両者の共通項は、徹底した「感謝」の姿勢である。取り巻くすべて、わが身に起こるすべての良しにつけ悪しきにつけ、万事を感謝に帰する生き方は、キリスト教と神道の共通項であるように思う。 日本人の信仰の在り方に、多様性と寛容を導いたのは聖徳太子であったが、在来の神道と、外来の仏教を見事に調和させたバランス感覚は、現在に至っても健在で、キリスト教イスラム教も含め、日本では様々な宗教が共存している。 「違い」を嫌悪するのではなく、「同じ」を見つけながら「違い」を大らかに取り入れていくのが日本文化の利点である。世界の宗教対立やそれに乗じた覇権争いが絶えぬ中、とりあえず日本では、千年以上も前にそうした問題には決着がついている。 街のあちらこちらでクリスマスのオーナメントが輝くこの時期、日本の和の文化に対しあらためて有難さを感じる。
2019年12月2日
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