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ジャポニスムふたたび56話

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本日朝刊です。

呼吸整え「黙想」構内に静寂      

 マインドフルネスという言葉が随分定着したように思う。企業の研修や、健康に関するテレビ番組でもよく扱われるようになった。

 瞑想というと宗教的な印象があるのだが、マインドフルネスとは、瞑想から宗教的な要素を取り除いて、今の自分の呼吸などを客観視することで、心や思いを整える方法である。

 日本の文化は深い呼吸に支えられてきた。記紀には「息長(おきなが)」という姓氏も見え、気息の長いことは珍重された。

 実際、日本の伝統的な所作は、深い呼吸がないとできないようになっている。畳に正座という所作も、相当自己を律する姿勢である。正座をしたり畳に手をついたりする挨拶の姿勢は、ゆっくりとした呼吸が必要となる。丹田を締める帯はもちろん、草履や下駄の鼻緒も、足指に力を入れることで下半身を支え、呼吸を安定させることに役立っている。

 こうした日本の文化は、現代社会においてはまさに風前の灯状態にあるのだが、冒頭に述べたマインドフルネスの普及により、ふたたび「呼吸の文化」に注目が集まっている。深く呼吸する、あるいは静寂の中で呼吸に意識を向ける。ただそれだけのことが、実は人間の日常生活に非常に有益であることが分かっている。心や思いを整える「呼吸の文化」に対する価値は、今後ますます上がっていくに違いない。

 ところで、浜松市内の多くの公立中学校では、30年来「黙想」を取り入れているという。先日、浜松市立三方原中学校を見学させていただいたところ、朝夕の会とすべての授業開始前の1分間を、黙想のひとときにあてていた。姿勢を正して着席し、目を閉じる、ただそれだけでもおのず呼吸は整う。

 生徒自ら「もくそー」と声を掛け合い、賑やかな校内が瞬時にして1分間の静寂に包まれる。なんとも美しい風景であった。

 

 


by akikomoriya | 2020-01-13 18:35
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