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ジャポニスムふたたび57話「八百万の神と最新の物理学」

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2020年2月17日、静岡新聞朝刊『ジャポニスムふたたび』
「八百万の神と最新の物理学」です♬        

 「八百万の神」とは、森羅万象、山川草木、動物、光、水、火、そして人間さえも等しく神聖であるという、おそらくは縄文時代から受け継ぐ日本独自の世界観である。
 こうした考えは、非科学的で原始的な思考であると思われがちであるのだが、最新の物理学を覗いてみると、この「八百万の神」とよく似た世界が広がっているから面白い。
 この肉体も含め、私たちを取り巻く世界は、「炭素原子」「水素原子」といった「原子」で構成されているのだが、その「原子」はさらに「素粒子」でできていると考えられ、これが物質の最小単位とされる。
 興味深いことにその素粒子とは、たった1種類の「弦(げん)」であり、私たちの体も、遺伝子も、水も、植物も、ウィルスも、鉱物も、光さえも、この宇宙に存在するすべては同じ1種類の「弦」から成っているという。
 さらにその「弦」は、常にバイオリン弦のように振動していて、1秒間に1兆回の1兆倍の1兆倍のさらに百万倍以上、という想像を絶する高速で振動し、振動の違いによって、素粒子の現れ方が異なるという。つまりこの世界のすべては、同じたったひとつの「弦」の超絶高速な振動、波動によって構成されているのである。
 気の遠くなるようなミクロの世界においては、人も花も、岩も光も、今この瞬間、同じひとつの弦の超絶高速な振動、波動によって存在している。
 「八百万の神」とは、人間を含めたこの世界のすべてに神聖さを見出し、それに感謝するという、日本人の基本的な世界観である。それは、和歌・俳諧をはじめ、武道、茶道、華道、絵画、造園、建築といった芸事から、生活文化の隅々にまで見られる。
「八百万」の世界観は、人類が解明しつつある最新の科学的叡智を、すでに知っていたかのようにも感じる。あらためて日本文化の摩訶不思議を思う。



by akikomoriya | 2020-02-17 20:04 | ジャポニスムふたたび
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