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ジャポニスムふたたび69話 和歌に見る感受する力

ジャポニスムふたたび69話 和歌に見る感受する力


数学はもっとも採点しやすい科目であります。
国語はもっとも採点しにくい科目であります。
芸術表現や創造的な学問領域は採点は不可能であります。
採点不可能な分野は出題されない。
出題されないと学ばれることがない。
それは本当に恐ろしいこと・・・
まったくもって、ひとでなしの世であります・・・
~ ~ ~ ~ ~

進化の過程で猿と人とを分けた決定的な能力は「創造力」であるという。

そして、その「創造力」を支えているのは、何かを見て「ああ!」と感嘆する「感受する力」である。

この能力を鍛えていかなければ、花が咲こうと花が散ろうと、あるいは人が生まれようとも死のうとも、何とも思わぬ人でなしが増えるばかりである。

心の内に感度のいいアンテナを持つことは、人間をより人間らしくせしめ、人間社会を安定させる。その一方で、この「感受する力」は、鍛えなければ愚鈍なままで発達しない繊細な能力でもある。

かつての日本では、和歌を詠むことが最高の教養とされていた時代があった。実は、和歌を学ぶことによって、この「感受する力」を鍛えることができる。歌を詠むためには、(表現し創造する以前に)見聞きし肌に触れるすべてを、深く感じとる能力が問われるからだ。

また、万葉集の中には、采女や防人、地方の農民といった一般庶民が、宮廷歌人や天皇と同じように登場する。それは「国民総詩人」ともいうべき有様である。「感受する力」の学びを、国民全体で共有するという驚くべき文化力。その文化の力こそが、この国の豊かさを支えてきた。

ところで、「テスト」や「試験」というものは、確かな学力の定着を促し、確認するために行われる。しかしながら、50万人もが受験する大学入学共通テストで、個々の「感受する力」を正確かつ平等に数値化するなど、ほぼ不可能であろう。

何が書いてあるかを読解し思考することよりも、まず優先して鍛えなくてはならない能力がある。それは、流れゆく雲から、蕾のほころびから、沈黙から…何かを感じ取る力。

大学入試で「今朝の空を見て一首詠みなさい」という問題が出題されるような、そんな日本国でありたいと、私は思う。

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by akikomoriya | 2021-03-03 00:36 | ジャポニスムふたたび
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