![]() 「その後体調はいかがですか?」「最近お仕事はどうですか?」等の気づかいに対し、多くの日本人はまずは「お陰様で…」と答える。 「お陰様」とは、なんらかの恩恵を受けているという感謝の言葉であるが、その「お陰様」が一体誰のことなのかは、実はよくわかっていない。 「陰」である以上、目に触れ耳に聞こえるはっきりした存在ではなさそうだ。しいて言えばご先祖であったり、あるいは神仏であるかもしれない。しかし、そう深く考えることもなければ問われることもないのが「お陰様」である。 ところで、アイヌでは、すべての人に専属の「憑き神(つきがみ)」がついていると考えられている。誰もが生まれてから死ぬまで「憑き神」に守られながらともに生きる。いつも一緒だから自分の憑き神にだけは嘘を付けないことになる。また仕事がうまくいっても「憑き神」と共同で事を成したと考える。 日本人の「お陰様」は、このアイヌ文化の「憑き神」に由来するのではないかというのが筆者の持論であるがどうだろう。 逆境に立たされる時も、まずは「お陰様」とともにいると思えるならば、多少なりとも明るく感じられる。あるいは追い風に乗る時にも、天狗にならずに平常心でいられる。 「神、共にいまして、行く道を守り」はキリスト教聖歌の一節だが、守護してくれる存在を想定して信じることは、人を安心立命の道へと誘い、どの宗教にも共通する基本事項である。日本ではこうした信仰の形が、信じるか否かを問う以前に、生活文化として沁みついている あえて何かを信じなくても、日本人にはいつも何者かに守られているという思考が日常の中に生きている。それが当たり前のように継承される日本とは、実は本当に有り難い、まこと「お陰様」の国なのである。
by akikomoriya
| 2021-03-22 09:01
| ジャポニスムふたたび
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