人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ジャポニスムふたたび77話

ジャポニスムふたたび77話_e0240147_22484149.jpg

山を神とみなす文化 今も脈々と

 富士宮市にある「山宮浅間神社」は、山を神とみなす縄文由来の日本の信仰を、現在に伝える貴重な神社である。

まず何より社殿が無い。鳥居をくぐったその奥には、ただ悠々とした富士の雄姿のみが目前に広がる。ここは、神なる富士を遥拝する聖域である。

また同市では、1万3千年前の縄文遺跡から、富士山を遥拝したであろう石積みが見つかっており、近くには同じく富士山を遥拝できる縄文のストーンサークルもある。縄文時代から富士山は神であった。

富士山ばかりではない。日本人は山を拝む(おろがむ)民である。山は神である。そして、山頂に「本宮」を置き、ふもとに「遥拝所」を設ける。これが神社の起源につながる。

筑波山、大峰山、位山、出羽三山、三輪山などの霊山や神奈備山から、地域の里山まで、日本列島内には「神なる山」が無数に存在する。それら縄文由来の「山を神とみなす」文化の、国内最大の事例が、「富士山信仰」なのだ。

現在においては、山を神とみなすことで、何らかの経済効果があるわけでもない。しかし、江戸時代までの日本列島内で、際立った環境破壊が見られなかった理由は、山をはじめとする自然の中に「神」がいたからである。自然の中に神聖さを見出せるか否かで、今後の地球社会の在り様は、大きく異なってくるにちがいない。

静岡県は縄文色の大変強い地域である。特に富士山周辺には、縄文草創期、早期の遺跡も多い。縄文文化とは、決して遠い過去の遺産ではなく、現代社会の中のそこかしこに、今も脈々と受け継がれ息づている。山を神とみなす文化もそのひとつである。

静岡県から世界に向けて、霊峰富士の美しさだけではなく、その文化を通して、縄文由来の調和的で持続可能な世界観を、発信していきたいと思う。



by akikomoriya | 2021-10-07 22:50
<< 個展のお知らせ ジャポニスムふたたび76話 自... >>