![]() 人類は文明発祥時より、自然を食い潰しながら発展してきたという経緯がある。実際、世界の四大文明発祥地はすべて砂漠と化した。異常気象も海洋汚染も、その延長線上にあるわけで、スタート地点からの大きなボタンの掛け違いを、今更どう修復すべきなのか…。 …と、理屈でいえば何とも大仰だが、筆者の好きな金子みすゞの詩の中には、人間と自然が調和的に関わるための最重要ポイントが、しっかりと示されている。 『夕顔』蝉もなかない くれがたに、ひとつ、ひとつ、ただひとつ、/キリリ、キリリと ねぢをとく、/ みどりのつぼみ ただひとつ。/ おお、神さまはいま このなかに。 『不思議』(略)わたしは不思議でたまらない たれもいじらぬ夕顔が 一人でパラリとひらくのが/わたしは不思議でたまらない たれに聞いてもわらってて あたりまえということが 金子みすゞが「おお!」と感動しているのは、人間の力を借りずとも、おのずからパラリと開く、夏の夕暮れのささやかなドラマである。芳香放つ開花のエネルギーとは、一体どこからくるのだろう。地球の科学がいまだ捉えることのできない不思議な力がそこにある。 その不思議は、空の雲の中に、雨粒の中に、小さな虫の中に、この世界のあらゆるところにあり、金子みすゞは、それを発見しては、「おお!」と感動している。耳を澄まし目を凝らし、繊細かつ高次元の感受性をもって、その不可思議の存在を確かめているのだ。 長い間、人間のための「資源」だと思われていた自然界のあらゆる事象の中に、科学の範疇を超える不可思議な力と意思が厳然と存在している。その認識が広く共有されていく時、その時はじめて、長い間掛け違えたままだったボタンが、ひとつ、ひとつと修正され、やがて大きな潮流となっていくに違いないと、筆者は考えている。
by akikomoriya
| 2023-08-15 10:29
| ジャポニスムふたたび
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