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アートセラピー

今年は色々新しい出会いがありましたが、先月は大学時代の後輩がやっている「アートセラピー」の講座に参加する機会がありました。

その日のテーマは、自分の生まれた日のことを、イメージしながら、会場に用意されている様々な自然素材やクラフト材料を自由に使って立体作品を作る、というものでした。

木の枝、貝殻、花びら、実、蔓、毛糸、リボン、和紙、ビーズ、紐…その他色々…用意された材料を見ているだけでもワクワクしてしまって、とっても素敵な体験でした。

私の生まれた2月25日はよく晴れた日だったそうで、その日の晩、大変な難産の末、ついに金具で引っ張り出されてなんとか私は生まれました。空には冬の星座が輝いていたと思われます。ちょうどその年はアポロによる人類初月面着陸の年でした。産院は天竜川のそばでした。家族はてっきり男の子が生まれると思い、用意されていた布団もベビー服も青でした。その布団の青い色を今でもよく覚えています。母は私を生んですっかり病弱になりましたが、いつも母の手作りの洋服を着せてもらい、母の手作りの食事を食べ、たくさんの思い出が自分の中にはあります。

…そんな事を思いながら、夢中で作っていると…こ~んな作品になりました。二つの作品はへその緒みたいなもので繋がっています。親子の絆のイメージです。外からはあまり見えませんが、中をのぞくと温かな思い出がいっぱい!

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会場には100人以上の方が集まってそれぞれの思いのままに、自分の誕生、出生、幼児期の環境などをイメージしながら、様々な作品を作っていました。そして、最後に会場内のすべての作品を、自由に鑑賞する時間が与えられて、そのときの感動は忘れられません!
集まった人々の中で、創作に携わる仕事をしていた人は、私以外には数人しかいなかったのでは、と思うのですが、どの作品も、どの作品も、強いエネルギーを発しているのが分かり、作品の善し悪しを付けたり、順位を付けたりする世界からはほど遠い、静かに清らかで、あたたかなエネルギーに満ちた空間でした。中には、思わず涙を浮かべている男の人もいました。私も制作しながら、何度も泣きたくなっていました。

どの人も、どの人も、生まれてくることを周りの誰かから祝福され、あるいは人間以外の何者かからも祝福され、生まれてきたのだと思うと、どの人もどの人も、掛け替えのない、神聖な存在であると感じました。
毎日の生活は慌ただしく、何かを無心に作ったり、幼い日々を振り返ることなど滅多にありません。でも創作という行為は、人の心を透明にして、大切なことを思い出させてくれるものだとしみじみ思いました。

先日のブログで、日本文化は、名もなき人々の感性を尊重する文化であった、と書きましたが、自分が今受け持っている日本画の講座や、高校生の美術の授業でも、上手下手を競うのではなく、お互いの内なる世界を顕現してゆけるようなあたたかい空間を提示してゆけたらいいな~と思いました。

以前、「この世に絵描きは天才が一人いればそれでいいのだ」と、豪語している友人がいましたが…絵とは名画や傑作を「見る」喜びだけではなく、「創作する」行為こそが、何よりの価値であると講座を体験して実感しました。絵やアートはすべての人に等しく必要なものだと改めて思います。

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by akikomoriya | 2011-12-25 22:15 | おしゃべり

兎の話

今日はジャポニスムのお話はお休みにして、お気に入りの兎をご紹介します♪

今年は卯年でしたので、兎のグッズがたくさん出回りましたね。私は酉年なので、反対側の干支の動物を持っているとお守りになると言うので、兎を密かに集めています。

今年は思いがけないご縁でお気に入りの兎グッズが増えました♪

まずはこ・こ・ち展で購入した兎の焼き物。親指くらいの大きさなんです!本当に可愛い!後からさらに追加して購入し今5匹います。5匹はいつも我が家の食卓にいて、ひそひそおしゃべりしたり、「おいしい?」って聞いてきたりするのです。
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次は益子焼きのシュガーポット。毎日のように使っている飛びうさぎ紋のコーヒーカップがあるのですが、実は特注で作ってもらっていて、本当に贅沢なことをしております。今年はシュガーポットも注文したら、焼き色がいまいちとかで、なんとタダでくださいました!
コーヒーカップは本当に気に入っていて、割れてしまって数が減るとまた頼むのです。多分一生好きでいると思います。このシュガーポットも一生使いたいな~♪
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今日はクリスマスでしたが、ツリーにも自作の兎の縫いぐるみを吊しました。実は子供たちの着れなくなった古着を使っています。思い出がたくさんで、捨てるには忍びなく、こうして縫いぐるみにすれば、ずっと思い出とともに楽しめます。

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思い出を度々振り返りながら、いつも忘れないように生きてゆく癖があります。時として、忘れなければいけない事も、心に深く焼き付いてしまって重くて仕方ないときもあります。忘れるための努力も大切なのだとしみじみ思います。しかし、子供たちとの思い出は、年をとってもひとつ残らず覚えていたいと、いつも思います。

身の回りにある小物たちは、ひとつひとついろんな思い出とともに存在していて、一度気に入って自分のものになると、一生好きでいられます。飽きることは滅多にありません。それで子供の頃からの小さな宝物がいっぱい!ときどき手にとって眺めたり、思い出を振り返ったりして、のんびり時間を過ごすのが好きです♪

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by akikomoriya | 2011-12-24 22:44 | おしゃべり

ジャポニスム、ふたたび。 ③

 日本の芸術に対して西洋人が驚いたのは「デフォルメ」だけではありませんでした。それはなんといっても色彩の豊かさ明るさ鮮やかさ!
 15世紀のルネッサンス期に完成した描法はその後500年間守られ続け、写真のようにリアルで立体的な作風が絵画の第一条件でした。大切なことは「光と影」による立体感。色彩はさほど重視されていませんでした。ダ・ヴィンチの作品を見れば一目瞭然です。
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 それが…日本の浮世絵や屏風ときたら…
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明るいですね~しかも鮮やか!立体感は付けないから「影がない」ということも明るさの理由の一つではありますが、それにつけても日本人は色彩そのものを楽しむ民族なのですね。古来より四季折々に「着物のあわせ」などにもこだわってきたように、日本人は「色あわせ」が大好きなのです。

 日本人の色彩感覚の豊かさは奈良時代より定評があり、江戸期においては「四十八茶百鼠」という言葉にもたとえられるように、江戸の染色職人は48種類の茶色と100種のグレートーンを染め分けたと言うほど、色彩感覚が繊細かつ豊かでありました。

 さて、ジャポニスムの洗礼を受けた19世紀の絵画は、こ~んな風に変化します~♪
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 モネの「積み藁」です。明るく、鮮やかになりました!

 おまけにゴッホの「ひまわり」
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 明るいですね~輝いてますね~ゴッホは本当に日本人になりたかったのですね♪

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by akikomoriya | 2011-12-20 23:40 | おしゃべり

ジャポニスム、ふたたび。 ①

 3月の震災以降、日本人の心のあり方を問う場面が増えたように思います。

 日本人の忍耐強さ、勤勉さは世界でも定評があります。ありがたいことです。それ以外にも日本人の素晴らしい資質はたくさんあります。
 絵画や芸術というものは、それを作成した人の、人柄や考え方世界観などを如実に物語ります。同様に、その国の芸術文化を紐解くと、その国の歴史や民族性が本当によく分かります。まさに、一目瞭然です。

 日本の芸術は19世紀の開国と同時に世界に公開され、瞬く間に一大センセーション「ジャポニスム」の波を引き起こしました。マネ、モネ、ルノワール、ゴッホ、ホイッスラー、クレー、クリムト…当時の画家で日本の影響を受けなかったものはないと言ってもよいほど、日本は世界の芸術文化に多大な影響を与えました。

 日本人の感覚ってそんなに凄いの?と私たち日本人は思います。でも私たちが思っている以上に、日本の文化芸術はすご~いんです!

 それで今日は日本人の「形」から紹介。

 日本の形で一番特徴的なのが「デフォルメ」です。実際の形を描き手の感覚により自由に歪曲させます。今だからこそ抽象芸術は当たり前ですが、19世紀以前の西洋には、見えたとおりの写真のような仕上がりこそが絵画でありました。自由な歪曲はその人の心の感動や視点、価値観をストレートに表します。浮世絵の世界にはデフォルメがたくさん見られます。
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葛飾北斎の「神奈川沖裏浪」です。襲いかかる波は実寸以上に大きく、対比する人間は小さく描かれています。波に飲み込まれるような船頭たちの恐怖感を強調するためにも、このようなデフォルメは効果的です。

 高校生に感じたままのデフォルメを生かしながら、猫じゃらしを描いてもらいました。百人百様、自由な表現は、もともと世界にあったのではなく、「ジャポニスム」の波に乗って、日本から世界へ送られたものだったのです。
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by akikomoriya | 2011-12-09 18:30

絵本の楽しみ ⑦

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至光社「こどものせかい」より「じゃむじゃむどんくまさん」 絵・柿本幸造 文・蔵冨千鶴子  

受験生の子供の勉強を見ながら(見張りながら?)ぼちぼち更新しているブログですが、自分で思っていた以上にたくさんの人が見ていてくださったと知り、恐縮しております。勝手なつぶやきをどうぞ気楽に読み流してくださいませ♪
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しばらく続けてきた「絵本シリーズ」ですが今日が最後です。また幼稚園時代に戻りますが、「こどものせかい」に度々登場した「どんくまさん」シリーズです。

おっちょこちょいなどんくまさんは、いつも失敗ばかり。ある日、おもしろがってリンゴの木を揺すって遊んでいたら、おまわりさんに叱られてしまいます。けれどそれがきっかけで、リンゴの木持ち主(ジャムやさん)のお手伝いをすることになります。おいしく煮えたりんごジャムを町まで売りに行き…ジャムは全部売れたけど…、お金をもらってくるのをすっかり忘れてしまいました。

ジャム屋のおじさんにこんどこそひどく叱られて…でも最後はまた思わぬ展開で、笑顔で締めくくられます。
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柿本さんの作品はどれも、おのずとお人柄を映し出すような温かな筆遣い。微妙に混色された中間色と、輪郭をはっきりさせない柔らかさが魅力でした。白い余白も、風の気配も何もかもが温かく優しいのです。

社会人になって高校生に美術を教えるようになり、あることに気付きました。それは、混色して色を作るのが苦手な子が多い、ということ。チューブから出した色をそのまま並べるので、味気ない作品になってしまいます。この頃は「ピンクってどうやって作るの」などといった、あまりに基本的な質問も多く、絵を描いて育ってないんだな~と思い知ります。

もうひとつ思うことは、枠からはみ出るとうろたえることです。絵というとアニメ画やゲームのキャラクターしか知らないので、塗り方はべた塗りで、枠からはみ出ると失敗なのです。堅くて柔軟性に欠いた作品が目立ちます。淡いにじみや柔らかい輪郭を知らずに育ったのだと分かります。

自然界の風景は、どれも形は曖昧で、水平線や、雲と空の境目など、一本で線を引けないものばかり。海と空が交わるあたりの表現は、海の色と空の色が微妙に混じり合って出来上がります。また雲と空の境目は、雲が限りなく薄くなって、空と同化します。そんな微妙な変化と優しい「曖昧さ」が私は好きです。木のはっぱ一枚とっても、その葉は光を反射し、風に揺れているわけですから、そのゆらぎを表現するためにも、印象派の画家たちは曖昧で柔らかな輪郭を好みました。モネやルノワールがよい例だと思います。

色々な絵本を目にしますが、柿本さんの温かさに勝る作品には、なかなか出会えません。

ところで、私が絵本に親しむことができたのは、ひとえに絵本を大切にしてくれた母のお陰です。幼稚園から持ち帰る月刊誌を丁寧に保管し、また、読み聞かせしてくれ、それ以外にもよく絵本を買ってくれました。書店に行って、「好きな本を持っておいで」、と言われたことが何度となく記憶にあります。我が家は、父も母も物作りが好きで人情家、絵本好きな子供が育つにはよい環境だったと心から感謝しています。

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by akikomoriya | 2011-12-05 00:50