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ジャポニスムふたたび 46話

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ジャポニスムふたたび 静岡新聞本日朝刊です♪
  
聡明な判断で守られた文化      日本画家 森谷明子

 飛鳥時代とはまさに激動の時代であった。...
明治を急速な「欧化」とするならば、飛鳥は急速な「唐化」といっていいだろう。
 その飛鳥人の聡明さとは、急がれる国際化の対応のみに溺れることなく、決して手放してはいけない日本古来の文化を、しっかりと見極め、意識的に継承させたことにある。
 たとえば都の造営は唐に倣って碁盤の目に整備し、寺院も唐の建築様式を取り入れた重厚な瓦屋根をもちいる一方で、日本古来の神を祀る神社は、日本の古代様式を継承し、千木鰹木、萱葺きとした。当時の最新式の建築様式で神社が建てられていたならば、現在の伊勢神宮は法隆寺のような建造物であったかもしれない。
 歴史書も、日本の歴史を漢文で記した外国向け公文書としての日本書記と、古い時代からの口伝を苦心して文字化した古事記がある。日本語の文字表記を漢文に依存したままだったら、現代の日本語は今のようではなかっただろう。
 また、漢詩が流行する一方で、万葉集の編纂を行い、身分の貴賤を問わず、全国津々浦々の老若男女の歌謡が収集された。万葉集が編まれなかったら、日本の和歌の文化は途絶えていたかもしれない。
 怒涛のように押し寄せる外来文化の中で、いやおうなしに色褪せてゆく自国の文化を、飛鳥人は聡明な判断と努力をもって継承させている。後に来る平安の御代の国風文化は、飛鳥の礎の上に開いた花であった。
 現代から見れば「古代」に分類される時代において、すでに古きを守り継承させるための取り組みが積極的に行われていたことは興味深い。
明治以降、欧化の一途をたどり、敗戦後の不信感を経て、ふたたび日本文化の真価を見直す時期に来ている今、飛鳥人に倣う聡明な判断と努力が必要とされている。 

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by akikomoriya | 2019-03-25 19:56 | ジャポニスムふたたび