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兎の話

今日はジャポニスムのお話はお休みにして、お気に入りの兎をご紹介します♪

今年は卯年でしたので、兎のグッズがたくさん出回りましたね。私は酉年なので、反対側の干支の動物を持っているとお守りになると言うので、兎を密かに集めています。

今年は思いがけないご縁でお気に入りの兎グッズが増えました♪

まずはこ・こ・ち展で購入した兎の焼き物。親指くらいの大きさなんです!本当に可愛い!後からさらに追加して購入し今5匹います。5匹はいつも我が家の食卓にいて、ひそひそおしゃべりしたり、「おいしい?」って聞いてきたりするのです。
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次は益子焼きのシュガーポット。毎日のように使っている飛びうさぎ紋のコーヒーカップがあるのですが、実は特注で作ってもらっていて、本当に贅沢なことをしております。今年はシュガーポットも注文したら、焼き色がいまいちとかで、なんとタダでくださいました!
コーヒーカップは本当に気に入っていて、割れてしまって数が減るとまた頼むのです。多分一生好きでいると思います。このシュガーポットも一生使いたいな~♪
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今日はクリスマスでしたが、ツリーにも自作の兎の縫いぐるみを吊しました。実は子供たちの着れなくなった古着を使っています。思い出がたくさんで、捨てるには忍びなく、こうして縫いぐるみにすれば、ずっと思い出とともに楽しめます。

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思い出を度々振り返りながら、いつも忘れないように生きてゆく癖があります。時として、忘れなければいけない事も、心に深く焼き付いてしまって重くて仕方ないときもあります。忘れるための努力も大切なのだとしみじみ思います。しかし、子供たちとの思い出は、年をとってもひとつ残らず覚えていたいと、いつも思います。

身の回りにある小物たちは、ひとつひとついろんな思い出とともに存在していて、一度気に入って自分のものになると、一生好きでいられます。飽きることは滅多にありません。それで子供の頃からの小さな宝物がいっぱい!ときどき手にとって眺めたり、思い出を振り返ったりして、のんびり時間を過ごすのが好きです♪

# by akikomoriya | 2011-12-24 22:44 | おしゃべり

ジャポニスム、ふたたび。 ③

 日本の芸術に対して西洋人が驚いたのは「デフォルメ」だけではありませんでした。それはなんといっても色彩の豊かさ明るさ鮮やかさ!
 15世紀のルネッサンス期に完成した描法はその後500年間守られ続け、写真のようにリアルで立体的な作風が絵画の第一条件でした。大切なことは「光と影」による立体感。色彩はさほど重視されていませんでした。ダ・ヴィンチの作品を見れば一目瞭然です。
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 それが…日本の浮世絵や屏風ときたら…
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明るいですね~しかも鮮やか!立体感は付けないから「影がない」ということも明るさの理由の一つではありますが、それにつけても日本人は色彩そのものを楽しむ民族なのですね。古来より四季折々に「着物のあわせ」などにもこだわってきたように、日本人は「色あわせ」が大好きなのです。

 日本人の色彩感覚の豊かさは奈良時代より定評があり、江戸期においては「四十八茶百鼠」という言葉にもたとえられるように、江戸の染色職人は48種類の茶色と100種のグレートーンを染め分けたと言うほど、色彩感覚が繊細かつ豊かでありました。

 さて、ジャポニスムの洗礼を受けた19世紀の絵画は、こ~んな風に変化します~♪
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 モネの「積み藁」です。明るく、鮮やかになりました!

 おまけにゴッホの「ひまわり」
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 明るいですね~輝いてますね~ゴッホは本当に日本人になりたかったのですね♪

# by akikomoriya | 2011-12-20 23:40 | おしゃべり

ジャポニスム、ふたたび。 ①

 3月の震災以降、日本人の心のあり方を問う場面が増えたように思います。

 日本人の忍耐強さ、勤勉さは世界でも定評があります。ありがたいことです。それ以外にも日本人の素晴らしい資質はたくさんあります。
 絵画や芸術というものは、それを作成した人の、人柄や考え方世界観などを如実に物語ります。同様に、その国の芸術文化を紐解くと、その国の歴史や民族性が本当によく分かります。まさに、一目瞭然です。

 日本の芸術は19世紀の開国と同時に世界に公開され、瞬く間に一大センセーション「ジャポニスム」の波を引き起こしました。マネ、モネ、ルノワール、ゴッホ、ホイッスラー、クレー、クリムト…当時の画家で日本の影響を受けなかったものはないと言ってもよいほど、日本は世界の芸術文化に多大な影響を与えました。

 日本人の感覚ってそんなに凄いの?と私たち日本人は思います。でも私たちが思っている以上に、日本の文化芸術はすご~いんです!

 それで今日は日本人の「形」から紹介。

 日本の形で一番特徴的なのが「デフォルメ」です。実際の形を描き手の感覚により自由に歪曲させます。今だからこそ抽象芸術は当たり前ですが、19世紀以前の西洋には、見えたとおりの写真のような仕上がりこそが絵画でありました。自由な歪曲はその人の心の感動や視点、価値観をストレートに表します。浮世絵の世界にはデフォルメがたくさん見られます。
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葛飾北斎の「神奈川沖裏浪」です。襲いかかる波は実寸以上に大きく、対比する人間は小さく描かれています。波に飲み込まれるような船頭たちの恐怖感を強調するためにも、このようなデフォルメは効果的です。

 高校生に感じたままのデフォルメを生かしながら、猫じゃらしを描いてもらいました。百人百様、自由な表現は、もともと世界にあったのではなく、「ジャポニスム」の波に乗って、日本から世界へ送られたものだったのです。
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# by akikomoriya | 2011-12-09 18:30

絵本の楽しみ ⑦

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至光社「こどものせかい」より「じゃむじゃむどんくまさん」 絵・柿本幸造 文・蔵冨千鶴子  

受験生の子供の勉強を見ながら(見張りながら?)ぼちぼち更新しているブログですが、自分で思っていた以上にたくさんの人が見ていてくださったと知り、恐縮しております。勝手なつぶやきをどうぞ気楽に読み流してくださいませ♪
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しばらく続けてきた「絵本シリーズ」ですが今日が最後です。また幼稚園時代に戻りますが、「こどものせかい」に度々登場した「どんくまさん」シリーズです。

おっちょこちょいなどんくまさんは、いつも失敗ばかり。ある日、おもしろがってリンゴの木を揺すって遊んでいたら、おまわりさんに叱られてしまいます。けれどそれがきっかけで、リンゴの木持ち主(ジャムやさん)のお手伝いをすることになります。おいしく煮えたりんごジャムを町まで売りに行き…ジャムは全部売れたけど…、お金をもらってくるのをすっかり忘れてしまいました。

ジャム屋のおじさんにこんどこそひどく叱られて…でも最後はまた思わぬ展開で、笑顔で締めくくられます。
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柿本さんの作品はどれも、おのずとお人柄を映し出すような温かな筆遣い。微妙に混色された中間色と、輪郭をはっきりさせない柔らかさが魅力でした。白い余白も、風の気配も何もかもが温かく優しいのです。

社会人になって高校生に美術を教えるようになり、あることに気付きました。それは、混色して色を作るのが苦手な子が多い、ということ。チューブから出した色をそのまま並べるので、味気ない作品になってしまいます。この頃は「ピンクってどうやって作るの」などといった、あまりに基本的な質問も多く、絵を描いて育ってないんだな~と思い知ります。

もうひとつ思うことは、枠からはみ出るとうろたえることです。絵というとアニメ画やゲームのキャラクターしか知らないので、塗り方はべた塗りで、枠からはみ出ると失敗なのです。堅くて柔軟性に欠いた作品が目立ちます。淡いにじみや柔らかい輪郭を知らずに育ったのだと分かります。

自然界の風景は、どれも形は曖昧で、水平線や、雲と空の境目など、一本で線を引けないものばかり。海と空が交わるあたりの表現は、海の色と空の色が微妙に混じり合って出来上がります。また雲と空の境目は、雲が限りなく薄くなって、空と同化します。そんな微妙な変化と優しい「曖昧さ」が私は好きです。木のはっぱ一枚とっても、その葉は光を反射し、風に揺れているわけですから、そのゆらぎを表現するためにも、印象派の画家たちは曖昧で柔らかな輪郭を好みました。モネやルノワールがよい例だと思います。

色々な絵本を目にしますが、柿本さんの温かさに勝る作品には、なかなか出会えません。

ところで、私が絵本に親しむことができたのは、ひとえに絵本を大切にしてくれた母のお陰です。幼稚園から持ち帰る月刊誌を丁寧に保管し、また、読み聞かせしてくれ、それ以外にもよく絵本を買ってくれました。書店に行って、「好きな本を持っておいで」、と言われたことが何度となく記憶にあります。我が家は、父も母も物作りが好きで人情家、絵本好きな子供が育つにはよい環境だったと心から感謝しています。

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# by akikomoriya | 2011-12-05 00:50

絵本の楽しみ ⑥

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絵本の仕事をしているとあれこれと小さかったときのことを思いだします。自分はいま42歳ですが、あの頃と感覚はほぼ変わってなくて、大切なものも、大切なこともあまり変化がないように思います。なので、自分はまだ「こども」なのだといつも思います。それで昔のことを「子供だった頃」と言わず、「昔のこと」とか「体が小さかった頃」と言うようにしています。

小学校1年生の冬に、静岡の羽鳥にいた祖母が亡くなりました。長男だった父は、祖父のお世話をするために、とりあえず家族を羽鳥に引っ越させ、本人は単身赴任で週末だけ羽鳥に通っていました。はじめての転校、週末しか会えない父のこと…母も姉もとてもナーバスになっていて、なかなか友達もできない私は、いつもぽつんと一人で遊んでいました。
 
県庁所在地であるはずの静岡市なのに、羽鳥はものすごい田舎で、それまで住んでいた磐田市よりも、び~っくりするほどのどかなところでした。古い風習も色々残っていて、「穴掘り組合」という隣組制度みたいのがあり、それはなんと、土葬の時にお互いのお墓を掘る仲間なのでした…これにはびっくり。

自宅から学校までの間は田んぼしかなくて、田んぼの脇にある用水には時々太い蛇が泳いでいました。あるとき帰宅途中にどこからともなくスースーと寝息のような音が聞こえ、ふと足元を見ると…なんとちいさな蛇がとぐろを巻いて道の真ん中でお昼寝していたのでした。危うく踏むところでした…。タニシやカエルをとったり畑の花を植えたり採ったり、私にとって羽鳥のくらしは、さみしくも楽しいものでした。
 
築200年はする古い造り酒屋の母屋には、土間や釜戸がそのまま残っていて、雨の日には一人で人形を作ったり絵を描いたりして、障子のむこうの雨の音や庭の草木の気配を感じながら、広い和室を広々と使って遊んでいました。今思い返すと確かにあそこには「座敷童」みたいなものがいたなと思います。…そしてその十数年後、そのお屋敷が壊される直前、本当に座敷童を見てしまいました。狐の姿をした座敷童でした。すすけた梁に障子の明かり、雨の音、藁科川、木枯らしの森…不思議で、懐かしい、羽鳥の思い出は私の心の真ん中にいつもずっしりと座っています。

ちょうどそのころ、「花さきやま」という絵本に出会いました。

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「かたあしだちょうのエルフ」の木版画の「黒」も素敵でしたが、切り絵の「黒」もなんともまた魅力的でした。黒い背景の中に浮かび上がる鮮やかな虹色の色彩が、なにか日常から切り取った異次元のようで、またそのころ住んでいた古民家の暗さともあいまって、その頃の私の心にフィットしまくってしまいました。はじめは姉が友人から借りた本だったのですが、その後母に買ってもらい、すごく嬉しかったのを今でも覚えています。この本はもちろん小学校二年生の私の本です。
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今でも山の中をふらつくと、思いもかけず花が群生している場面に出くわします。野生化した朝顔だったり、白いタンポポだったり、そういう風景に出会うと、自分だけのお花畑みたいで幸せな気持ちになります。誰も知らなくても、誰も見ていなくても、花さき山の花が、今さいている、そんな気持ちになります。

絵本の場面は、主人公の「あや」だけが見ている「花さき山」の風景と、現実の風景が交互に出てくるのですが、現実の場面は背景が「白」、「花さき山」の場面は背景が「黒」になっていて、読者も知らず知らすのうちに現実と花さき山を行ったり来たりできるようになっています。絵といい文といい…作者の二人は天才であると心から思います。この絵本の世界に乗せられながら、私も懐かしい羽鳥の家と現実を行ったり来たりしているのです。
# by akikomoriya | 2011-11-27 21:02 | おしゃべり