人気ブログランキング |

お花の話 ②

e0240147_2126318.jpg


 SBS学苑の日本画講座のお生徒さんは、皆さん多趣味な方ばかりで、日頃から私の方が教えていただくことが多いように思います。先日は山野草を育てておられる方に「竜胆」を頂きました。


 実は子供の頃から大~好きで、何度も買っているのですが、なかなか毎年咲かせ続けるのは難しく、山野草を育てるのには、細やかな心遣いがないとだめだな~とその都度反省…。でも竜胆の藍色と袋のような花の形が何とも気に入っています。


 袋の形をした花でホタルブクロも大好きですが、これもまた別のお生徒さんから頂いたものが、庭先で毎年花を付けてくれます。ホタルブクロは比較的丈夫で、家の周りにも時々自生しているのを見かけます。白もピンクも可愛いです。中にホタルを入れて遊ぶ話が、松谷みよ子さんの「おときと狐と栗の花」という物語に出てくるのですが、いつかそんな風流な遊びをしてみたいものです。
 袋物では他に、桔梗の蕾とか、風船蔓の実とか、袋が開いたときは中から小人でも出てくるような気がして、本当に好きです。朝顔も花の奥の方に何かいるような気がして、これまたまじまじと見つめてしまいます。この美しさ不思議さは、やはり絵ではなかなか描き表せないのですが…いつの日か満足のいく作品を描きたいと思っています。


 ところで、金子みすずの詩はステキなものばかりですが、中でもお気に入りはこれです。



   夕顔

 せみもなかない
 くれがたに
 ひとつ、ひとつ、
 ただひとつ、

 キリリ、キリリと
 ねじをとく、

 みどりのつぼみ 
 ただひとつ。

 おお、神さまはいま
 このなかに。


 
 「自身が花であるかのように自然の中に生きる」というゴッホの言葉が好きですが、金子みすずもまた、そのような人であったと思います。
 この詩がもう何とも好きで、日々の生活の中でも、度々思い返しています。そして、この竜胆を頂いたときもまた思い出していました。





 

 
# by akikomoriya | 2011-10-29 21:12 | おしゃべり

蔓の楽しみ

e0240147_2022972.jpg



 秋も深まってきますと、あちらこちらにカラス瓜の赤い実が目につきます。「カラスも喰わぬカラス瓜」なのだと昔誰かに教わったのですが、紅葉の頃が過ぎた冬枯れの山野で、蔓も葉もカピカピに干からびたというのに、尚も赤く垂れ下がっている実を見るにつけ、「やっぱりカラスも喰わぬまずさなんだ~」と思ってしまいます。
 

 私は蔓ものの植物が好きです。まずは子供の頃から大好きだった「朝顔」。今でも朝顔の行燈作りを見ると胸躍る気持ちがします。最近では野生化して地を這いながら群生する、青や白など原種に近い朝顔が魅力的です。本来秋の草花であり、野生種は大変たくましく、初霜が降りるまでがんばって花を咲かせ続けます。蔓は左巻き、茎そのものが蔓なので、体全体で這い上がってゆきます。その姿は大らかで力強く、また人間業では到底及ばぬ麗しい曲線を朝ごとに描くのです。花はさらなり!まぁるい形は朝の光そのものを分散して放っているような清々しさがあります。しかも一日と言わず、朝の数時間のみ開花し、後は萎んで二度と再び顔を見せることはありません。その潔さと言ったら!朝顔はどこをとっても美しい!

 それから「カラス瓜」。これは本当にかわいい!茎から繊細な蔓が伸びて、近くに絡みつくものがないと自分自身に絡みついて、くしゃくしゃにもじかって玉になっている部分が時々あります。巻き方もまちまちで、右に左にチリチリ巻いています。

 植物の蔓を観察し、日ごと成長を楽しみながら夢中になってその曲線の美しさを写し続けた学生時代。あの日の延長線上に今の自分がいて、やっぱり蔓を描き続けています。

# by akikomoriya | 2011-10-13 20:25

木枯しの森

e0240147_20105647.jpg

 今日は老人ホーム「羽鳥の森」の竣工式でした。曹洞宗の名刹「洞慶院」のすぐふもと、緑に囲まれた静かな環境と最新の設備が整った素晴らしいホームでした。書家の小林椿園先生との初コラボである「木枯の森」の作品を列席された皆さまにお披露目できて、本当に幸せなひとときでした。

 木枯しの森の魅力にとりつかれて30年以上たちますが、静岡県の指定名勝であるにもかかわらず、羽鳥以外の静岡市民の方にはあまり知られていないのが残念です。今回老人ホーム「羽鳥の森」に和歌とともに絵を納める機会に恵まれ、心から嬉しく思います。


 平安の昔より多くの和歌に詠まれてきたこの森ですが、地元の人に最も知られているのは花ノ井有年の「ふきはらう 梢の音はしずかにて 名にのみ高き 木枯しの森」でしょう。森の中に鎮座する八幡神社の手前にその石碑があります。また江戸時代の国学者本居宣長による木枯しの森についての銘文も石碑に刻まれており、羽鳥の人々がこの森をいかに大切に思ってきたかを偲ばせます。


 「木枯の森」という名前は、もともと帰化人の「秦氏」がその本拠地としてかまえていた、現在の京都太秦の一帯を指します。太秦には現在でも秦氏の氏寺である「広隆寺」があり、弥勒菩薩半跏思惟像は国宝第一号となっています。また広隆寺に隣接して「蚕の社」という神社があり、これまた謎めいた三柱鳥居や元糺の池など、歴史ミステリーマニアにはたまらないスポットとなっております。


 秦の始皇帝の末裔を名乗る「秦氏」は、養蚕、機織りはもちろんのこと、土木建築、治水、交易等々における、優秀な技能集団として大和朝廷に迎えられました。おそらくは当時としてはかなりのVIP待遇であったことでしょう。桓武天皇による平安京遷都の背景には秦氏の財力があったといいますから、莫大な富と力を持っていた一族であったことが容易に想像できます。


 やがて秦氏は全国に散り、各地に機織り等の技術を伝え、静岡県内にも浜松、大井川、藁科川、富士川と秦氏の郷があります。ここ羽鳥は古くは「服織」と書いて「はとり」と読ませ、蚕を育て、絹を織り、この地に住み着いた秦の一族は、藁科川の中州の森に蚕の守護神である「馬頭観音」を祀り、その森を故地と重ねて「木枯しの森」と呼んでいたわけです。南に向かえば蔦の細道や小坂を越えて現在の東海道に、北に向かえば信濃伊那谷へと抜ける道でもあり、羽鳥の藁科街道は古代より随分と栄えたことでしょう。


 また木枯しの森は、神社の立地条件としても最も理想的であり、おそらくは、伊勢神宮などと同じく、神に仕えるもののみが、川を渡って森にはいることを許されていたのでしょう。木枯しの森古記には「朱鳥元年に皇族方がこの森に入られ…」という記述がに残されています。朱鳥元年とは持統天皇が、夫である天武天皇のご病気平癒のために年号を改めた年です。その持統天皇とは大変謎多き女帝で、式年遷宮をはじめとする伊勢の祭祀を現在のような形に整えたのもこの天皇のご成業であり、在位中31回もの吉野御幸といい、死の前年には現在の浜松まで来ておられ…もちろんそれらの理由は不明です。天皇家にとって、ここ駿河・遠江という地は、単なる東国のへき地ではなく、何らかの事情を持った土地、あるいは何かを封印されている土地のように私は思うのですが…
 

 今は県の指定名勝としてその名をとどめるのみの木枯しの森ですが、かつてはこの地域一帯を浄める神域であり、現代人が知るよしもない、秘め事を保持した森であったように思えてなりません。


 牧ヶ谷橋から眺める木枯しの森と藁科川の清流は、見れども見れども飽きることを知らず、何度訪れてもまた会いに行きたくなる懐かしい風景です。


 人知れず 思い駿河の国にこそ 身を木枯の森はありけれ    



しみじみ郷愁を誘う木枯しの森です。
 

e0240147_12225764.jpg
 

 
# by akikomoriya | 2011-10-09 19:57 | おしゃべり

自身が花であるかのように生きる

e0240147_20133323.jpg


 このコスモスの小品は、昨年の個展に出したものですが、とっても素敵な女性が購入してくださいました。
本当にお花のように素敵な女性でした。

 日本が大好きだったゴッホは日本人のことをこんな風に語っています。

「日本の芸術を研究していると、紛れもなく賢者であり哲学者で知者である人物に出会う。…その人はただ一茎の草を研究しているのだ。…どうかね、自身がまるで花であるかのように、自然の中に生きる、こんなに単純なこれらの日本人が我々に教えてくれるものこそ、まずは真の宗教ではないだろうか。」 


自身が花のように生きる。私はこの言葉が本当に好きです。

 そんな生き方ができたら本当に幸せです。花も草も嘘をつかない、裏切らない。そして、もっとすごいことは、嘘をつかれても、裏切られても、恨まず愚痴らず、いつでも明るい方を向き、ちゃんと花を咲かせ、空に向かって伸びてゆくこと。そんな風に生きてゆけたらいいな…と花を描きながら思う。今は無理でも、いつの日かきっと…!

 コスモスの小品を買ってくださった女性は、どんな困難の中にあっても、明るい方へ明るい方へと、自らを導いてゆける、華やかで力強い、お花のような方でした。 

 幸せなことに、私の周りには、お花のように生きている素敵な友人がたくさんいるのです。

# by akikomoriya | 2011-09-29 20:52 | おしゃべり

お花の話

e0240147_23482794.jpg


 友人で、お花の仕事をしている人がいます。フラワーアトリエ エボニー&アイボリーの鈴木さんです。困ったときは必ず助けてくれる宇宙人みたいな人です。
 この間会ったとき、ご自身のお仕事について「…まあ商売だからね、でも花をいとおしいと思う気持ちは必ず持っているよ」とぽつり。

 だから鈴木さんの作品は、作品と言うより、鈴木さんの手によって「新しい自然が広がった」ようなものになるんだなあ、と思いました。「花は摘まれた時点で一度死んでいる。その花に再び新しい存在の意味を与えることができたら…」そんな風にも話していました。

 神様は人をご自身に似せてお造りになったと聖書は言いますが、それは姿形を言うのではなく、「創造する力を持つもの」として、ということなのだと思います。アーティストってそういう仕事ができる人のことかなって思います。進化創造し続ける宇宙の最先端に人の手があって、その手によってさらなる宇宙が創造されてゆく。その根底にあるエネルギーは、我欲や物欲ではなく、野に咲く花を「いとおしい」と受け止める想いでありたいと、鈴木さんの作品を見ていつも思います。

 
 

# by akikomoriya | 2011-09-29 00:13 | おしゃべり

日待祭

e0240147_14383891.jpg


                       静岡浅間神社 大歳御祖神社 日待祭灯籠


 お日待祭の灯籠を今年も描かせていただきました。今年は桜を描く機会が多かったので、お礼の気持ちを込めて山桜にしました。神殿の正面に飾っていただき光栄です。しかも…よく見ると、昨年奉納した作品も展示されておりました。大歳御祖神社の神様は古くよりこの地にあった「安倍の市」の守護神です。その「安倍の市」を歌った万葉歌があり、作品にしたものです。


e0240147_14481866.jpg



 「焼津辺にわが行きしかば 駿河なる安倍の市道に逢ひし児らはも    春日蔵首老」 

# by akikomoriya | 2011-09-24 14:53 | 日本画

鹿島の郷

e0240147_2013596.jpg


                             朝日に匂ふ山桜花   126×3018cm

 浜松市西鹿島の老人ホーム「鹿島の郷」に納品した作品です。

 
e0240147_21582322.jpg

# by akikomoriya | 2011-09-20 20:14 | 日本画

羽鳥の森 納品  つづき

e0240147_8505975.jpg

e0240147_8515348.jpg


                                                                                                      木枯の森 F20   書 小林椿園 

 「羽鳥の森」にはもう一点、書家の小林椿園先生との合作「木枯の森」を納品させていただきました。藁科川の中州にある、静岡県の指定名勝「木枯しの森」です。清少納言の枕草子にも登場し、古来より歌枕として多くの歌が残されています。このあたりの風景は、市の中心部より車でたった15分程とは思えぬほど、のどかで美しい風情が残っています。「銀の匙」の筆者である「中勘助」が、羽鳥をこよなく愛し、長く滞在されたことは有名です。

 小林先生に書いていただいた和歌は、新後選和歌集・読み人知らず「「人知れずおもい駿河の国にこそ身を木枯の森はありけれ」です。

 先生の華麗で力強い作風は、見るものを飽きさせない魅力があります。先生ご自身の生き方も、お作品も、女性でありながらとってもカッコイイのです。今回は、森のまあるい形に合わせて、丸みのある配置で書いてくださいました。また、絶妙な滲みで切ない恋の歌を表現してくださっています。

 書画は古来よりいつもともにあるものでしたが、現代はなかなか一緒に楽しめる機会が少なくなりました。これからも、こうした古くて新しい表現を、模索してゆきたいと思っています。

 

 

# by akikomoriya | 2011-09-19 09:23 | 日本画

羽鳥の森 納品

e0240147_21432481.jpg


                           やまと心を人とへば   126cm×3018cm        



 10月にオープンが予定されています、静岡市葵区羽鳥の老人ホーム「羽鳥の森」に、昨日、日本画作品を無事に納品してまいりました。ご依頼の方のご意向で「富士と桜」をモチーフに、明るく輝かしい富士と山桜を描かせていただきました。
 実はこの作品は、今年の4月にオープンした浜松市「鹿島の郷」に納めた山桜の絵と双子の作品になります。 羽鳥、鹿島、両方の作品のタイトルを並べて冒頭に「敷島の」をつけると…本居宣長の和歌「敷島の大和心を人問へば朝日に匂ふ山桜花」になります。
 花見というと、染井吉野やしだれ桜の「夜桜見物」が風流なのかもしれませんが、朝日に輝く山桜の方が私は好きです。
 
 羽鳥・鹿島ともに、ご入居される皆さまが、人生の最後のひとときを、明るく輝かしく喜びに満ちてお過ごしになられますよう、心からお祈り申し上げます。

e0240147_12255832.jpg

# by akikomoriya | 2011-09-18 22:09 | 日本画

平成23年度SBS学苑祭


e0240147_17402164.jpg

                                         福桜  F10号    

SBS学苑「楽しく描こう日本画講座」を受講されている皆さんの作品が、SBS学苑祭に出品されます。
   会期  前期:平成23年9月16日(金)~18(日)
   時間  9時30分~16時30分(最終日は12時まで)
   会場  静岡市民文化会館 4階C展示室

 前期・中期・後期あわせて80近い講座作品が一挙に展示されますので、なかなか見応えがあります。
 日本画というのは、昔ながらのスローな技法と画材で成り立っておりますので、慣れるまでにも大変時間がかかりますし、制作過程も気の長い人でないと続かないものなのですが、講座の皆さんは大変研究熱心かつ大らかな方ばかりで…驚くほど上達されます。講座の皆さんの挑戦的で斬新な感覚に日々刺激を受けながら、本当に楽しく毎回の講座を行っております。
 講師である私も出品しております。山桜にしてはかなり派手目に仕上げしました。いつもと違う技法を色々実験したので、近くで見ると試行錯誤の跡が残っていてちょっと恥ずかしいです…。

# by akikomoriya | 2011-09-16 18:12 | 日本画